(第477回 1月20日 )
1月17日に大阪市内で開催された、港医療生協の学習会で講演を行いました。参加者は40人で、地域の組合員も参加した熱心な学習会でした。
講演タイトルは、「医療生協の患者の権利章典」を発展させ新しい文書を作ります-医療福祉生協連のめざすものを考える、で先日岡山で行ったもの(第476回 2012年1月17日)とほぼ同様の内容です。始めに約50分間の講演を行い、認知症の自己決定権を考える劇の台本を使って、5つのグループで討議を行ったあと、後半の講演を行い、そのあと質疑応答しました。
講演内容は、患者の権利章典の成り立ちや実践内容について、なぜ「医療生協の患者の権利章典」に替わる新文書をつくるのか、というものです。
質疑応答ででた意見を紹介します。
「どのような思いで患者の権利章典が作られたのか。若い職員にどう伝えるか、講義以外にいい方法はないか」という質問に対して、「講演で示した実践例は、全国の3年目の看護師に聞いた話。医療福祉生協連の看護3年次研修は毎年80人くらい参加するが、自分たちの仕事の内容が患者の権利章典の項目のどこに結びついているかを考えてもらうグループワークを行い、その中ででた意見を使用している。自分たちがやっている仕事の内容と患者の権利章典の内容を結びつけることが大事である」と答えました。
また、介護の分野はパートの方が多いので教育の時間をとるのも大変で、医療生協の介護を浸透させるのは難しいという声があるが「事例検討の中で考えるというのが大事ではないか。あのケースではどうすればよかったのか、医療生協の介護を考えながら振り返るのが大事ではないか」と指摘しました。
「患者の中には権利だけ主張する人もいる。医療生協の患者の権利章典には、患者の「責任」についてあまり触れられていない。権利と責任の両方があるのだということについて、考えてほしい」という意見も出ました。
「患者にも責任があるということは重要だが、誤解を招かないような表現上のテクニックが大事で、権利だけではないですよ、ということを強調したい。責任の問題は、今の時代だからこそ言わないといけないと思う」と答えました。
講演の中で「自己決定権を軸にといったが、認知症のケースでもそうだが、権利の中で自己決定権というのが実は一番難しいのではないか。さまざまな権利をどう整理するのか」という質問に対して、「難しいことだからこそ中心におきたい。その背景にある、健康権や受療権なども大事で、それなしには自己決定権はない。自分で決めればそれでよい、ということではない」、と答えましたが、どう表現するかが今後の課題です。
「(新しい文章を確定しても)掲げたら終わり、1回読んだら終わり、になるのではないか。何度も見たい、聞きたい、という、深い内容だとは思うが、詩人や文学者に依頼するなど、魅力のあるものにしてほしい」という要望も出されました。
難しい課題ですが、「詩人に協力してもらうというのは是非検討したい。ただ、難しい言葉を使うと分かりにくい、やさしい言葉を使うと何を言いたいのかよくわからない、というのもあるので検討していきたい。詩を作る、歌を作る、方言で読む権利章典など、工夫したい。作っただけで終わりにならないような、さまざまな取り組みを行っていきたい」と答えて終了しました。
学習会終了後に、文字媒体だけでなく、ビジュアルな資料も提供してほしい、5分程度のDVDを作るなどの工夫もしてほしい、といった要望も出されました。
宿題をいっぱいいただいた、私も勉強になる講演でした。
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