(第475回 1月13日 )
協同組合 香川合同計算センター 速報に「社長の健康シリーズ」を連載しています。2011年10月号に掲載したものを編集しました。
前回(飛来峰第470回 2011年12月16日付)、脳梗塞の予防には、血液を固まりにくくする抗凝固剤(こうぎょうこざい)の投与が勧められると書きました。
現在最も広く使用されているのが、ワルファリンカリウムです。
1920年頃、カナダや米国北部で、若く元気な牛が急に出血が止まらなくなってバタバタと死んで行きました。1922年、Schofieldがスイートクローバー(ハーブの一種で、メリロートとも呼ばれる)がこの病気の原因であると明らかにしました。
その後、研究がすすめられ、血液の凝固能(ぎょうこのう。固まりやすさ)に関連する物質が明らかになり、当初は殺鼠剤として用いられていましたが、薬剤として用いられるようになりました。
しかし、月に1回程度の血液検査を行い、投与量を変更する必要があります。また、食事や他の薬剤との併用に注意を払う必要があります。
例えば、納豆を食べると薬が効きにくくなります(納豆菌による)。健康食品のクロレラや青汁も影響します。ブロッコリやホウレンソウなど青色の野菜類も大量に食べると影響します。痛め止めや熱さましの薬など、効果が強まったり、弱まったり、細心の注意が必要になります。
そこで、血液検査によるコントロールが不要な薬の開発が進んでいます。最近では、ダビガトランという薬剤が発売され、当初は血液検査が不要とされましたが、腎臓の働きが落ちている場合には副作用がでやすいため、結局血液検査は必要ということになりました。海外では、アピキシバン、リバロキサバンといった薬剤も開発中で、日本でも発売されることになるでしょうが、新薬の使用には十分な注意が必要だと思います。
(牛に関するエピソードは、エーザイ社の資料を参考にしました)
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