昨年11月に、「医療生協の患者の権利章典」に替わる新しい文書作成を呼びかける集会が、東西2カ所の会場で開催され、200人近い参加者が熱心な討議を行いました。
いま、なぜ新しい文書を作成するのでしょうか?
医療福祉生協連を作ったことが契機になったことは間違いありませんが、それだけではありません。
「権利章典」は、1991年に制定されましたが、その背景について振り返ってみましょう。
1980年代は、社会保障分野での逆流が顕著でした。1981年に発足した政府の「第2次臨時行政調査会」は、医療保険に対する国庫補助の引き下げ、医療費抑制政策、老人保健法を制定し医療費無料化制度を廃止、などを行いました(「臨調行革路線」です)。
1987年には厚生省の「国民医療総合対策本部」が中間報告を発表、病気になるのは本人の生活にも問題があるからだとして、「疾病の自己責任論」をふりまきます。
一方、医療生協は、1981年からの5年間で組合員を43.4%増やし、出資金は80.6%増加、1987年には110万世帯に到達するなど、大きく前進しました。
「権利章典」は、社会保障分野の逆流、とりわけ「疾病の自己責任論」に対置するかたちで、「健康の自己主権」を主張しています。
「権利章典」は、「患者の権利と責任,医療従事者と国・自治体の義務と責任を明らかにし,運動をすすめ」「医療における民主主義と住民参加を保障する,医療における人権宣言」として、確定しました。
いま、医師・看護師不足を始めとする医療・介護の「崩壊」や、「税と社会保障の一体改革」による消費税増税と社会保障切り捨て路線に対し、医療福祉生協連としてどう活動を進めていくのかが問われています。
医療・介護・健康づくりを主軸とし、憲法13条の幸福追求権や25条の生存権を実現し健康の自己主権を確立するための、私たちの新しい旗印が求められているのだと思います。
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