(第461回 11月11日 )
日本医療福祉生活協同組合連合会(医療福祉生協連)が発行する医療福祉生協情報誌comcomの 2011 年11月号のコラム「社会派 しんさつ室 No.20」に掲載された文章を転載します。一部修正しています。
9月7日から9日の3日間、大阪市内で開催された「2011年度医療福祉生協連トップセミナー」で、「患者の権利章典」のこれから、という報告を行いました。
医療生協の患者の権利章典は、1991年に医療部会総会で確定して以来、全国でさまざまな実践を行い、医療生協の理念をあらわしたものであるといってよいと思います。
第3者評価を行う企業の方が雑談時に「医療生協の病院は安心できます」と言いました。理由は、患者の権利章典があるからです。患者には権利があると明言しているから、いざという時に安心して医療を受けることができる、という訳です。
権利章典を制定してから20年間、医療をめぐる情勢は大きく変わりました。インターネットを利用して病気や治療法に関して、簡単に知識を得ることができるようになりました。知る権利や学習権のありようも大きく変化しています。受療権に関しても、高すぎる国民保険料、長期入院はできないが病状に適した施設も不足しているなどの問題もあります。
医療を提供する側でも、患者に権利があるのは当たり前という意識の変化もあります。もちろん、過度の権利の主張や、あいかわらずのお任せという面もあります。なにより、地域の医療生協の組合員への浸透度が不十分という問題も残ります。
トップセミナーの感想や意見の主なものは、以下の通りです。患者の権利章典を発展させることについて、新しい文書をつくるということを初めて聞いた、権利章典を発展させることはよいことだという意見がある一方、今回の提案内容では、わかりにくく地域の組合員の中で討議するのは難しい、医療福祉生協連の理念を決める前に新しい文書を決めるというやり方でよいのかといった内容でした。
医療福祉生協が何をめざすのか、わかりやすく短い言葉で理念を検討する必要がありますが、同時並行で「新しい権利章典」を検討する作業を行っていきたいと思います。
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「医療生協の患者の権利章典」を発展させた文書(案)の検討と実践を全国によびかける集会が、東会場:東京都渋谷区(11月14日)、西会場:岡山県岡山市(11月22日)で開催されます。
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