(第460回 11月4日 )
10月20日付で香川県健康福祉部健康福祉総務課から、「紙おむつ、毛布、バスタオルなどの物資を提供します」という文書が、香川県内の福祉施設・事業所に送付されました。
副題で「東日本大震災被災地へ搬送できなかった物資を県内福祉施設等に提供します」とあります。要するに、県内から善意で香川県に寄せられたさまざまな物資を、被災地に送るのをやめて、香川県内でこっそり山分けしよう、ということです(この文書は医療機関には送付されていません)。
この文書を読んだ人たちから、怒りの声が湧きあがっています。
県の文書によれば「被災地での物資はほぼ充足しており、被災地自治体から支援物資の要請がない」ためだとしています。毛布65箱、大人用紙おむつ946箱、バスタオル198箱など物品名がずらっと並んだ表がついています。単位は「枚」ではなく「箱」です。
とんでもない、というのが率直な感想です。
報道によれば、宮城県の仮設住宅では仮設住宅に住む5人家族に対して、支給される布団は4組で、毛布はなく「これでは冬を過ごせない」という声が上がっています。
災害救助法が定める寝具の支給が、宮城県では徹底されておらず、厚生労働省も追加支給に乗り出さない消極的な姿勢があるからだと指摘されています。
香川医療生協では、医療福祉生協連からの要請により宮城県の松島医療生協が支援している仮設住宅に冬物下着を、南相馬市を支援している団体に協力をするために仮設住宅に毛布を送っています。金額にすれば30万円余りですから、大した額ではないかもしれませんが、問題は「心」だと思うのです。
香川医療生協の職員に呼びかけたところ、家にある毛布を快く提供してくれた人もいますし、自分のお金で新しい下着を買ってきた人もいます。困った人に何か自分でできることはないのか、という気持ちが重要です。
香川県が、地元の実態を調べることもなく、安易に「山分けをする」姿勢には、疑問と怒りを覚えます。
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