(第451回 9月20日 )
善通寺市が発行する広報誌「広報ぜんつうじ」の2011年9月号(No.717)に、「アスベストによる肺の病気について」という文章を寄稿しました。一部修正しています。
環境省によると、岩手、宮城、福島の被災3県で発生したとみられるがれきのうち、撤去が完了したのは3割強の約700万トンだそうです(7月上旬)。行方不明者を慎重に調査したり、東京電力の原発事故の影響で処理できないなどの事情があり十分進んでいません。
がれき処理は、ほこり、アスベストなどを吸い込む可能性があるため、特殊なマスクが必要です。
さて、アスベストの輸入は、戦後の経済復興と共に増加し、72年にWHO(世界保健機関)がアスベストの発がん性を明確にし、86年にILO(国際労働機関)が、危険性の高い青石綿などを使用禁止する石綿条約162号を採択した後も90年初頭まで大量輸入し、使い続けて来ました。
アスベストは、糸や布に織れるしなやかさを持ち、燃えず腐らず、引っ張りに強く保温性があり、かつ安価だったため、自動車を初めとする各種産業機械のブレーキ、工業用建築物、住宅用資材の屋根材や壁材などに利用されて来ました。
そのため、アスベストを吸い込んだためにおきる病気は、直接工業用資材を作っていた仕事だけでなく、自動車産業や機関車・船舶、電気工事、建築関係など多くの職業と関連があり、吸入後30〜40年たって症状がでてくるため、これからも増加すると考えられています。
最も多い病気は気管支炎で、冬場に3カ月程度咳や痰が続く場合は要注意です。また、肺を保護する胸膜に病気がおきるため、呼吸や運動に関係のない胸の痛みが続くこともあります。
病気が進行すると呼吸が苦しくなり、日常生活にも制限が必要になり、酸素投与が必要になることもあります。
肺がんなども発生しますから、早期発見には胸部レントゲン写真が必要で、市の行う肺がん検診は是非受ける必要があります。
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