(第439回 7月22日 )
「地域主権改革」一括法は、4月28日に成立しました。その内容で、いま問題になっているのが、保育の分野です。
一括法により、保育所に関する国の最低基準は撤廃され、自治体の条例で定めることができるようになりました。保育所の面積については厚労省令で「従うべき基準」を定めますが、特定の地域では基準を引き下げる特例が許されます。
厚労省は特例の対象地域や期限を検討してきましたが、7月1日、保育所など児童福祉施設の最低基準に代わる施設や運営のガイドライン(厚労省令)案を、社会保障審議会児童部会に示しました。
その対象地域は「待機児童問題が深刻でかつ地価の高い地域」とされています。当初は「東京等」としていましたが、ふたを開けてみると、東京都の中央区など15区、立川市、三鷹市、府中市、調布市の他、横浜市、川崎市、さいたま市、川口市、京都市、大阪市、西宮市などです。要するに殆どの都市部が対象となります。
これらの地域では面積基準の引き下げが認められ、子どもを詰め込むことが可能になります。スシ詰め状態でも構わないということで、子どもの命と安全を大きく脅かす可能性があります。
また、営利企業がより参入しやすくなる条件作りにもなります。
いくつかの改善点がない訳ではありません。たとえば、これまで最低基準に書かれていなかった乳児院の看護師数などが明記されました。10人以上20人以下の乳児院や45人以下の児童養護施設には、保育士を加配することも明記されました。しかし、これらは既に予算措置が行われていたものを、現状を追認する形で基準に書き込まれたものです。
また、これらの基準は新基準適用(6月17日)後に「新設、増築または全面改築」される施設に限られるという抜け道もあります。
一方、これまでは自治体に要望しても「国の基準通り」と相手にされなかった内容でも、自治体条例で改善できる可能性もあります。
要求を実現させる取り組みが必要です。
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