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香川医療生活協同組合

いま、医療現場はどうなっているか(7)

(第427回 5月24日 )

 地方政治新聞「民主香川」に連載している、「「医療改革法」は医療をどう変えたか――医療現場からの報告」(第17回)です。2011年4月17日号(1524号)に掲載した「いま、医療はどうなっているか(7)」を編集しました。

 前回は、兵庫県柏原病院をめぐる、医療体制を守る住民運動について触れました。

 今回は、医療生協さいたま生活協同組合の「私たちの命と医師を守る宣言」を紹介します。

 この「宣言」は、「医療崩壊や医師不足がすすむ中、大切な医師や大切な医療を守るために、医師とともにひろく世の中に問いかけ、協力しあいましょうと呼びかける」ために作られたものです。

 「厳しい現状でも、多くの医師が地域医療を必死で支えています。今や、医師を守ることは医療を守ることに直結しています。それは、私たちの命を守ることと結びついています」として、以下の3点について宣言しています。


 1.私たちは、医師をふやすために行動します。

 *医師不足のストレスによって、医師が病院を離れることがないよう、国に対し、医師をふやすことを求めます。

 *地域の病院で働き続ける医師がふえるよう、行政に対し、奨学生制度や医師の子育て支援制度などの充実を求めます。

 2.私たちは、安全で安心な医療を、医師と協力してつくります。

 *医療事故や感染予防のために、患者ができることには、積極的に協力します。

 *医療には、限界もあることを理解します。医療事故の原因究明と再発防止および被害者の救済を目的とする制度の設立を国に求めます。

 3.私たちは、医師が人間らしく働けるように、できることを考え行動します。

 *医師の過重労働の実情を理解し、多くの人に知らせます。

 *適切な受診ができるように、ふだんから、賢い病院のかかり方を身につけます。

 *ともに医療をつくるものとしてお互いを大切にし、ありがとうの気持ちを伝えます。


 最後に「医療生協さいたまは、『医療生協の患者の権利章典』の実践として地域の人びとと手を取り合い、よい医療をつくるために行動します」と結んでいます。

 全文は、下記のHPを参照してください。

 http://www.mcp-saitama.or.jp/information/declaration.php

 医師養成を増やしていくことについては、大方の合意が得られていると思いますが、臨床の現場にでるには、医学部6年、臨床研修2年、さらに必要な研修が数年かかりますから、今後10年は、医師数は事実上増えません。

 医師養成数を増やすだけでなく、住民とともに歩む医師養成を地域の人々と共に行っていく必要があります。

 「かかりつけ医」を持つ、救急受診のありかたや、救急車の利用についても合意を得ていく必要があります。そのためにも、医療従事者と日ごろから学習を行うなどの取り組みも必要です。

 医療のあるべき姿は、国民が医療の在り方に声を出し、自らを律する取り組みを行い、医療従事者と共にあるべき医療を追い求める「参加と協同」が必要です。

 日本には「患者の権利」に関する法律はありません。患者の権利を法的に保証し、診療情報を共有することにより、患者と医師など医療従事者が同じテーブルで話し合い、共に医療を進めていく前提条件をつくることが大事だと思います。

 また、社会保障は、国民の権利であり政治の基本です。制度の後退を許さず、改善するたたかいも重要です。この取り組みでも、患者・国民と医療従事者が手を取り合って、運動を進めていく必要があります。


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