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香川医療生活協同組合

税と社会保障の一体改革を考える(その1)

(第424回 5月13日 )

 5月12日に、第6回社会保障改革に関する集中検討会議が開催されました。消費税増税による社会保障改革(税と社会保障の一体改革)をめざす菅内閣が、6月末にまとめる予定の方針を作るための会議です。

 厚労省の提案文書は「社会保障制度改革の方向性と具体策」で、副題には「『世代間公平』と『共助』を柱とする持続可能性の高い社会保障制度」となっています。この方針の「射程(想定時間軸)」は、ベビーブーム世代が高齢期を迎える2015年から2025年を念頭に置いているといいます。今後10年前後の社会保障の形をどう変えていくかという、大変重大な方針だといえます。

 この文書の本文は19ページですが、「全員で参加して支える社会保障の安心」という解説文書が添えられており、こちらは6ページの短いもので、これを読むと菅内閣・厚労省の目指す方向性がよくわかります。

 まず、社会保障の「定義」として3点あげています。(1)自分で働いて自分の生活を支え、自分で律して自分の健康を維持する。(2)病気になったら国民全員で助け合ってリスクを分かち合う。(3)自立できないほどの困窮に陥った場合に「政府が最低限の生活を保障する」。そして、国民と政府は相互に支えあうものだと、説きます。

 冗談ではありません。社会保障とは、憲法25条に記された「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」という内容に基づいて国が保障する、国民の生きる権利です。

 確かに、個人の生活のレベルでいえば、自分の健康は自分で守らなければいけないと思います。しかし、健康を「維持する」ための政策は国の責任です。「自分で律して自分の健康を維持する」というのは、病気になるのは自己責任であるという「疾病の自己責任論」にほかなりません。

 病気になった時に「国民全員でリスクを分かち合う」というのは、構成員同士で相互扶助を行う「共済」制度の考え方です。

 医療保険制度でいえば、国民保険は国が責任を持って運営する制度です。ですから、かつては2分の1の財政負担を行っていました。しかし、現在では4分の1に減らされました。そのため、払いきれないほどの高い国保料となり、保険料を払うと医療費が支払えない、保険料を払わないと医療にかかれない制度になり、とても国が責任を持っているとは言えなくなりました。

 自立できなくなったら国が手を出すというのでは、医療保険制度も、介護保険制度も、国が責任を持つ必要がないということになるではありませんか。

 6ページのうちの最初の2ページを読んだところで、今回の狙いが明らかになりました。この文章は「たたき台」です。国民世論により、しっかり「たたいて」撤回させたいと思います。

(この項、続く)


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