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香川医療生活協同組合

いま、医療現場はどうなっているか(6)

(第423回 5月10日 )

 地方政治新聞「民主香川」に連載している、「「医療改革法」は医療をどう変えたか――医療現場からの報告」(第16回)です。2011年3月20日号(1521号)に掲載した「いま、医療はどうなっているか(6)」を編集しました。

 最後に、ではどうすればよいのかということについて触れます。

 兵庫県の北部、丹波篠山地域の中核病院である、県立柏原(かいばら)病院の医師体制をめぐる取り組みです。

 2005年度以降医師の減少が顕著となり、2006年4月に43人在籍していた常勤医師が、2008年4月には20人に減少しました。医師減を受け、2005年度に2つの病棟、2007年度に1つの病棟を休止した結果、病床数は2004年度の353床から214床に減少しました。

 2007年度の患者数は2004年度と比較すると、入院・外来とも5割程度まで減少、その影響で医業収益も約4割(約18億円)減少し、07年度決算見込みの当期純損益は約15億円の赤字となりました。

 こういった状況の中で、小児科の閉鎖、それに伴い産科の閉鎖も話題になりました。地域新聞の「丹波新聞」がこういった状況を報道したところ、「1児の母さん」のメールが1通だけきたそうです。そこには、病院に小児科がなくなってしまいさらに産婦人科もなくなってしまった場合、自分たちはどうすればいいのかと記し、最後に「どうかこの柏原病院で出産させてください。この先生たちにお世話になりたいのです。お願いします」とかかれてありました。

 このメールに対し、産婦人科の医師がこう回答します。

 「私たちはこれまで当地域の毋児医療のために微力ながらその一端の役目を果たしてきたつもりですが、実際にはもう私たちの努力だけではどうしようもないところへ来ている感が否めません。もし、柏原病院の小児科や産科医の存在を少しでもご評価していただき、われわれがこの地でそれなりに満足できる医療を続ける事を許していただけるなら、どうか、現在の医師不足、医療崩壊について市民の声を上げて下さい。どうか、近所の方やお友達に、丹波市や篠山市における今の医療情勢について教えてあげて下さい。そして私たちのふるさとの未来を担う子供達やお母さんの健康を守るため地域の立場からどのような現実的な取組ができるのかを一緒に考えていただけるようお伝えください」。

 そこで、住民が「兵庫県立柏原病院を守る会」を作り、「3つのスローガン」を掲げます。

  1. コンビニ受診を控えよう
  2. かかりつけ医を持とう
  3. お医者さんに感謝の気持ちを伝えよう

 住民自らが、自分の健康を守る努力をすると共に、地域の医療を守る取り組みに力を入れる、本来あるべき住民自治の姿だといえます。

 「医療機関を残してほしい」と行政に注文をつけるだけではなく、医療機関や医療従事者と一緒に運動を進めていく、こういった姿勢が大事なのではないでしょうか。

 医師体制が問題になった時には、小児科医が2名(うち1名は病院長)でしたが、10年末現在で5名になっています。

 下記のHPを参照してください。

http://mamorusyounika.com/aisatu.html

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