福島原子力発電所災害についての緊急声明
2011年3月21日
日本医療福祉生活協同組合連合会
会長理事 高橋泰行
東日本大震災で被災した東京電力福島第一原子力発電所は、施設の爆発・損傷と放射性物質の外部への放出という極めて深刻な事態に直面しています。緊急停止した原子炉の緊急炉心冷却システムは、非常用の発電装置が損傷したことにより、作動せず、核燃料を冷却することが出来ない状態が続いています。
さらに、放出された放射性物質による被ばくや農作物の出荷停止など放射能汚染の影響が広がりはじめ、住民の不安が募っています。政府は、避難指示の範囲を20キロメートル、屋内退避指示の範囲を30キロメートルに広げるなど対応策をすすめていますが、正確な情報が的確に伝えられず、住民の不信・不安を増幅しています。
このまま、原子炉を冷却できない状態が続けば、原子炉や格納容器が破損し、大量の放射性物質が外部に放出されるという最悪の事態となる恐れがあります。
放射性物質の漏出という非常事態に対処し、人びとのいのちや健康と環境を守るため、早急に次のような必要なとりくみを進めなければならないと考えます。
1.省庁研究機関の組織の枠を超えて国内外の英知と経験を集めて、最善の策を選択すること。
2.日本政府は放射線情報について、正確で迅速な情報を提供すること。
3.最悪のシナリオを予想し、ひとびとのいのちと健康を守ることを最優先として、住民の避難、避難場所や避難方法の確保、避難先での人びとの健康管理と生活援助(保障)を早急に進め、住民が健康を維持し、安心できるような策を講じること。
4.原子力発電に関する事故の対応を、原子力政策を推進する経済産業省の外局である原子力安全・保安院ではなく、独立して中立的立場をとる機関に対応させること。
5.各地の原子力発電施設の安全点検を実施し、安全体制が不十分な原子力発電は直ちに停止すること。
今回の事態は、地震多発国である日本における原子力優先のエネルギー政策の脆弱性をあらためて示しました。
医療福祉生協連は、今後のエネルギー政策について原子力発電に依存しない代替エネルギーなどの開発や促進によって、持続可能な社会を目指すことを要望します。
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