昨年11月、厚労省の社会保障審議会介護保険部会で介護保険制度の見直しに関する意見がまとまりました。この内容が今年の通常国会で提案されます。
基本的考え方として、日常生活圏内で「医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが切れ目なく、有機的かつ一体的に提供される」ことが強調され「地域包括ケアシステム」が提起されています。
在宅医療では、往診、訪問看護、訪問介護、入浴サービス、デイケア、デイサービス、短期入所などを病状や状態に合わせていかに上手に組み合わせるかが、カギになります。
その意味で、「包括ケア」という考えは間違っていません。
しかし、基本的考え方の二番目の「給付の効率化・重点化」を進めるなら、軽度要介護者を保険給付から締め出すことになり、包括的なサービスの提供は不可能です。
また、要支援者・軽度要介護者の給付を介護保険給付の対象外とする、利用者負担を二割とするという意見も掲げています。
たとえば軽い認知症があり、心機能低下のある一人暮らしのAさん。薬の飲み忘れが多く、食事を準備してもいつ作ったものかがわからない、入浴もできません。このレベルの人にデイケアや訪問介護で服薬確認をおこない、安心して入浴してもらえれば、病状の悪化による入院もなく、在宅で過ごすことができます。
こういったサービスを提供することが、介護保険の本来の役割です。2012年の介護報酬改定を前に、現場からの声をあげていく必要があります。
同時に、介護保険制度だけでは対応できない要支援者・軽度要介護者の困り事に応える必要があります。ゴミ出し、電球の交換、買い物など、日常生活の困難に対応する地域の仕組みを作る必要があります。医療福祉生協の地域での役割を発揮する時です。
介護保険を改善する取り組み、困った人を手助けする、安心してくらし続けられるまちづくりを担う医療福祉生協の出番の時です。
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