あなたにもあげたい 笑顔 健康

TOPヘ

香川医療生活協同組合

いま、医療現場はどうなっているか(3)

(第402回 2月15日 )

 地方政治新聞「民主香川」に連載している、「「医療改革法」は医療をどう変えたか――医療現場からの報告」(第13回)です。2010年12月19日号(1513号)に掲載した「いま医療はどうなっているか(3)」を編集しました。

 内容的は2010年12月14日付(第388回)の続きです。

 2番目は「ハコ」(病院・病床数)の問題です。

 病院の医師は減り続けています。そのため、当直回数は増加します。

 看護師の交代勤務は、夜勤が終われば翌日は当然休みですが、医師の当直に「明け」を保障するのは困難です。労働条件改善のため当直のあと、午前中だけ勤務して午後を休みにする試みが一部の病院で始まっていますが、それが実現できるのも一定医師数がいないと無理です。

 日野秀逸東北大名誉教授は「いのちの格差社会」の中で、海外で「医師や看護師が過労で死ぬくらい働くことがあり得るのか」と聞かれ、「残念ながらある」「連続36時間の労働が実際上ある」というと、「そんなクレイジーなことがなんで許されるのかと突っ込まれた」と紹介しています。

 労働時間が長いだけではありません。医療をめぐる情勢の変化もあります。

 説明責任がこれまで以上に求められるようになりました。医師の事務作業も増えました。患者要求も増大しています。病気がよくならなければ「医療ミス」として追及されることも増えてきました。時には訴えられることもあります。

 原因はこれだけではありませんが、病院医師の退職・開業→科の閉鎖といった悪循環を招いています。

 自治体立の病院も減ってきました。その背景には、市町村合併による事業見直しによる整理・統合があります。

 自治体立の病院の多くは、大学病院からの人事に頼っていました。医師研修制度の変更により、これまで地域の病院に派遣していた医師を大学病院に戻す必要が生じ、派遣医師の引き上げが行われ、病院機能を維持できなくなりました。

 2007年に「公立病院改革ガイドライン」が策定され、各自治体は2008年度中に改革プランを策定し、「地域において真に必要な公立病院の持続可能な経営を目指し、経営を効率化」することが求められるようになりました。

 その内容は、(1)一般会計が負担する範囲を特定して単年度黒字化をめざす(2)病床利用率が過去三年間70%未満なら、病床削減や診療所化、独立行政法人化や民間委譲を検討することになりました。

 当時の自治体立病院の実態は、約970病院中約8割が赤字、利用率70%未満は310病院でしたから、一部の黒字病院を除けば、大半を縮小または廃止する方針だったということになります。

 入院の説明と同時に退院後の話が始まったというのは、よくある話です。一般病院では長期入院患者がいると経営が成り立たない仕組みがありますから、長期入院は療養病床ということになります。

 しかし、2012年には介護保険対応の療養病床13万床は廃止、医療保険対応の療養病床25万床は16万床に削減という方針がありますから、ますます入院はできないといいうことになります。

 療養病床の削減・廃止の方針は政権交代後いったんストップがかかっていますが、政権がどうなるか不明な情勢になってきましたから、注視しておく必要があります。


関連項目へ 矢印 “飛来峰”バックナンバー

TOPへ 香川医療生活協同組合
フッターのライン