(第401回 2月8日 )
日本医療福祉生活協同組合連合会(医療福祉生協連)が発行する医療福祉生協情の情報誌comcomの 2011 年1月号のコラム「社会派 しんさつ室 No.10」に掲載された文章を転載します。一部修正しています。
後期高齢者医療制度の廃止は先延ばしにされてしまいましたが、新たな医療制度が、厚生労働省の「高齢者医療制度改革会議」で検討されています。
議論の詳細は厚生労働省のホームページに公開されていますが、10月25日に開催された第10回会議で、近藤克則委員(日本福祉大学教授)が「窓口負担拡大に反対する」意見を述べています。
70才から74才までの医療費負担は、自民・公明政権時代に2割に引き上げられましたが、後期高齢者医療制度に対する国民の批判を背景にして「当面1割」になっています。今回の議論の中で、法律通り2割に引き上げることが提案されており、それに対する反対意見です。
受益者負担について、“受益”という言葉が医療に当てはまるのかと指摘した上で、「支払い能力に応じて出し合うというのが社会保障の原点ではないか」と述べています。そして、医療費の自己負担増の影響についての国際的な研究や近藤委員の調査を根拠にして、必要な医療が減る、インスリンのような重要な薬も費用負担を理由に使わなくなる人が多数発生すると指摘しています。
2012年には、医療報酬と介護報酬の同時改定がおこなわれます。医療・福祉の生協として、地域の実態を政策に反映する活動が重要です。
「いのちの大運動」の中でも、医療費負担増による受診抑制や、経済的な理由で介護サービスが受けられない実態が報告されています。負担増に反対する活動も重要ですが、負担増による問題事例を全国的な規模で集約する活動が医療福祉生協連に求められています。
安心して医療が受けられる制度に変えていくことは、医療生協の患者の権利章典の「受療権」の保障でもあります。
無料低額診療事業、国保44条の一部負担減免制度の拡充など、2011年を社会保障を充実させる年にしていきたいと思います。
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