(第389回 12月17日 )
12月10日の第387回の続きです。
さて、厚労省の提唱する新しい医療制度の枠組みは、「75才以上の人の医療費を都道府県単位で運営し」「医療給付費の1割を保険料で賄う」ことですから、後期高齢者医療制度と何も変わらないことになります。
その結果、保険料の推計は、以下の通りです。
加入者1人当たりの年間保険料(万円) |
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2010年度 |
2025年度 |
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国保(75才未満) |
9.0 |
12.9 |
1.4倍 |
国保(75才以上) |
6.3 |
9.5 |
1.5倍 |
協会けんぽ |
17.1 |
24.3 |
1.4倍 |
健保組合 |
19.5 |
28.9 |
1.5倍 |
国の負担を減らしたために、どの世代も、どの保険も保険料が際限なく増加する仕組みになっています。そのため、さまざまな反対の声があがっています。
健康保険組合連合会(健保連)、全国健康保険協会(協会けんぽ)、連合、日本経団連の4団体は12月6日、東京都内で「高齢者医療制度の再構築と被用者保険の維持・発展に向けた緊急集会」を開き、国民皆保険制度を維持していくために、新たな高齢者医療制度への公費投入の拡充などを求める「共同アピール」を採択しました。
アピールの中で、「公費の追加が極めて限定的であるため、現役の保険料負担は限界を超え」ると悲鳴をあげ、「75才以上の医療費への公費5割を実質確保することはもとより」「被用者保険の負担増には国費で対応すること、公費投入を前期高齢者にも拡大すること、現役世代の拠出金負担額に一定の上限を設けること」などを要求しています。
企業が適切な負担を行うことに日本経団連が応じるかどうかはともかく、民主党政権の今回の新しい制度に対して、多数の反対の声があがっていることは、間違いありません。
新しい年を、予算の中心を社会保障の充実に、の声をあげ、広げていく必要があります。
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