(第383回 11月26日 )
香川県保険医協会報 2010年10月20日号の「主張」欄に掲載した、「入院患者受診制限の解決を」という文章を転載します。一部修正しています。
2010年8月29日に、保団連(全国保険医団体連合会)主催の「入院中の患者さんの他医療機関受診の規制の撤回を求める決起集会」が、東京都内で開催されました。京都府保険医協会の報告によれば、近畿の二府四県の、病床の半数以上が精神病床の130病院を対象にした調査で、他院受診が必要なケースが、「よくある」「ある」と回答した病院が93%に上っていることが明らかとなりました。
入院中の患者で他院受診が必要な事例や実態が全国から報告され、「入院中の患者の他院受診制限は、患者さんの命を脅かす政策で一日も早く改善を」との声が寄せられました。
10年4月改定までは、入院中の患者が他医療機関を受診する際、一般病床の場合には特に制限はなく、療養病床等の診療行為が包括された内容と同一行為が他院でなされた場合にのみ制限がありました。
ところが、4月から突然、投薬は入院医療機関で行うことになり、入院料も療養病床等の場合30%から70%減額されることになり、医療現場に大きな混乱を巻き起こしました。
骨折で整形外科に入院中に、糖尿病の治療のために他院の内科医の診療が必要になったり、内科入院中に関節痛で他院の整形外科を受診することはよくあるケースです。これが制限されるなら、入院患者に必要な医療が提供できなくなり、場合によっては命に関わる場合もあります。
この問題は国会でも取り上げられ、6月4日通知で「一般病床に限り」他院での投薬が可能になりました。その後、6月29日の政府答弁で、療養病床等の場合でも「専門的な投薬は他院で行う」ことが可能になりましたが、「投薬の費用は入院側と合議で処理」することになり、本質的な問題解決には至っていません。また、入院側の入院料の減額も撤回されていません。
厚労省は他疾病の治療は「転院・対診」が原則といいますが、現実的には転医する必要がない場合が多く、他院を訪問して診察するのは現実的には困難です。
まず、10年3月末までの状態にいったん戻し、療養病床等の取り扱いも、必要な医療が確実に提供できるように変更すべきです。
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