(第380回 11月12日 )
日本医療福祉生活協同組合連合会(医療福祉生協連)が発行する医療福祉生協情報誌comcomの 2010 年11月号のコラム「社会派 しんさつ室 No.8」に掲載された文章を転載します。一部修正しています。
「無料低額診療事業」に取り組む病院や診療所が増えています。この事業は社会福祉法に基づくもので、経済的な理由によって必要な医療サービスを受ける機会を制限されることのないよう、自己負担分を免除または減額できる制度です。
厚労省は一時期「抑制を図る」方針をとっていましたが、社会情勢の悪化に伴い、麻生内閣の時に「低所得者等に対する必要な医療を確保する上で重要であると評価しており、一定の役割を果たしている」と方針を変えました。
各地の取り組みの報告によれば、これまで医療機関にかかることのなかった方が受診でき、入院治療に結びつくこともあり、大事な取り組みになっています。
実施にあたっては、自治体により対応が異なり苦労もあるようですが、医療福祉生協の社会貢献として重視していく必要があります。
国民健康保険法44条の「一部負担金の減免制度」も、これまで基準が曖昧であったこともあり、自治体が適用を認めないことが多く問題になっていました。9月13日に厚労省が、事務連絡の中で「国として望ましいと考える基準」を明らかにし、この面でも一歩前進しました。
国の基準を超える部分については特別調整交付金の対象にならないなど、問題点はあり、制度を充実させる運動を広げていく必要があります。
この秋、医療福祉生協連の結成を地域に広めていくことが求められています。設立趣意書で述べた「地域医療福祉の向上に貢献します。組合員が主体的に参加・協同する医療福祉を広め、くらしを向上させます。社会に向けて活発な情報発信を行い医療福祉生協に対する信頼と共感を高め」る取り組みを実践するときです。
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