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香川医療生活協同組合

高松平和病院が無料低額診療事業を開始しました

(第376回 10月26日 )

 香川医療生活協同組合の高松平和病院が、10月18日から「無料低額診療事業」を開始しました。「無料低額」という言葉の響きから、お金を払わなくても医療が受けられると勘違いをする人もいますが、そうではありません。

 社会福祉法第2条第3項第9号に定められた「生計困難者のために、無料又は低額な料金で診療を行う事業」のことで、各都道府県に届け出を行い、認可された病院または診療所が行います。対象者の基準や適用する期間などは各医療機関が定めることができます。また、保険調剤薬局でのお薬代は扱いが別で、自己負担が必要になります。

 また、この事業を行うと医療法人では固定資産税が減免されますが、医療福祉生協や以前からこの事業に取り組んでいる済生会は元々減免されているので、新たな経済的メリットはありません。

 全国の医療福祉生協では、2009年3月に尼崎医療生協(兵庫)が開始し、庄内医療生協(山形)、高知医療生協、津軽保健生協(青森)と続き、2010年には、宮崎医療生協、宝塚医療生協(兵庫)、医療生協健文会(山口)、愛媛医療生協、盛岡医療生協(岩手県)、沖縄医療生協と広がってきました。

 高松平和病院の実施要項によれば、生活保護法の「生活扶助+住宅扶助」額を「生活保護基準」として、その額の130%以下が適用となります。その他、多重債務など特別な事情のある場合は、ケースバイケースで対応することになります。

 この制度は、原則として生活保護制度など公的社会資源を活用できるまで、3カ月以内を基本とします。事情により3カ月を超える場合は、その都度審査して対応することになります。

 ところで、国民保険法44条には「保険者は、特別の理由がある被保険者で、保険医療機関等に」「一部負担金を支払うことが困難であると認められるものに対し」一部負担金の減額または一部負担金の支払を免除することができます。問題は「特別の理由」が具体的に明示されていないため、一部の自治体を除き、この制度が殆ど利用されてきませんでした。

 10/20付「毎日」は厚労省調査を元に、全国の半数の市町村に減免制度がなく、06〜08年度は鳥取・島根・愛媛など11県では全市町村で実施されておらず、香川県など5県では1件しか実施がなかった、と報じました。

 無料低額診療事業の実施が、制度の不備により「医療を受ける権利を奪われている」人の人権を守る取り組みであると同時に、社会保障のあるべき姿を明らかにする運動として大きな意味があると思います。

(この項つづく)


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