後期高齢者医療に関する診療報酬改定について、後期高齢者だけでなく対象年齢を変更した項目です。
まず、薬剤情報提供料の「手帳記載加算(後期)」です。
薬を受け取る場合、薬の名前や飲み方、作用、副作用などを記載した紙を渡される場合と、「お薬手帳」に貼るシールを渡される場合があります(直接記入もあります)。
お薬手帳に貼るシールを後期高齢者に渡した場合に算定していたものを、全年齢層に広げました。ただし、お薬手帳を持って来るのを忘れた場合、シールを渡しただけなら算定出来ないことになりました。
手帳を持っていなければ「記載」できないという意味ですが、持って来ていたら「後で貼ってね」といって渡すだけでも算定できるのですから、厚労省の考えることは細かいというか、よく分からない話です。
「後期高齢者退院時薬剤情報提供料」は、入院時に服用している薬剤の確認や退院後も服用する薬剤について説明することを評価するもですが、後期高齢者だけが対象でした。後期高齢者以外には別の項目で算定していたのが、「退院時薬剤情報管理指導料」として統一されたものです。
一体なぜ別にしていたのか、謎です。
「後期高齢者総合評価加算」は、対象が後期高齢者から、四〇才から六四才までで介護保険の特定疾病患者と六五才以上の患者、になりました。介護保険を利用しているという意味ではなく、介護保険の対象者という意味です。医療保険の内容を介護保険に移していく前触れとも考えられ、注視する必要があります。
「総合評価加算」に名称変更されましたが、病気がよくなったかどうかだけでなく、日常生活の機能面での評価や、介護や福祉などのサービスを利用することなど、「総合的」に評価する必要性が強調されました。しかし、「予防からリハビリまで」をスローガンにしている民医連(全日本民主医療機関連合会)の病院や診療所で仕事をしている私にとっては、何をいまさらという気がします。
こういった事は「評価」するような事ではなく、「当たり前」のこととして、診療報酬の基本点数を大幅にアップすべき内容だと思います。
三回にわたって診療報酬改定から見た後期高齢者医療制度に触れました。少し難しかったかもしれませんが、後期高齢者医療制度にむりやり診療報酬を合わせてきた事が分かって頂けたのではないでしょうか。
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