(第356回 8月17日 )
鳥取県東部の八頭郡(やずぐん)は、市町村合併の結果、八頭町、智頭(ちず)町、若桜(わかさ)町の3町になりました。人口3万人余、面積は630㎢(高松市と三木町、さぬき市を合わせた位の広さ)です。
若桜町は、東は兵庫県、南は岡山県、西は智頭町に面しており、面積が200㎢、人口が約3800人の小さな町です。ここに鳥取医療生活協同組合が運営する、わかさ生協診療所があります。
約1時間これまでの取り組みを中心に講演しました
19床の入院ベッドを持つ有床診療所でしたが、医療制度の度重なる変更の中で、現在は全床を介護老人保健施設として活動しています。今後の診療所のあり方を検討する中で、医療部会がすすめる「高齢者にやさしい診療所」に注目し、「病気をみつけたり治したりするだけでなく」「あそこへ行ったら元気がもらえる診療所」「元気な高齢者づくりを援助する診療所」をめざすことにし、「高齢者にやさしい診療所」づくりの取り組みをすすめている、善通寺診療所の見学に来ることになりました。
7月25日に、職員と地域の組合員合わせて約20人が鳥取医療生協・鹿野温泉病院のバスでやって来ました。予定より早く到着したので、会場準備の間に自主的に診療所内を見学して頂き、その後、交流を行いました。
私は、「医療生協らしい診療所を考える――高齢者にやさしい診療所をめざして」と題する講演を、約1時間かけて行いました。善通寺市の紹介、善通寺診療所の医療内容の紹介、善通寺市内の医療事情について述べた後、医療部会がすすめる「高齢者にやさしい診療所」のパイロットスタディについて報告しました(第319回、10/3/16付を参照して下さい)。
「高齢者 にやさしい診療所」の取り組みを行って何が変わったのかと聞かれても正直困るのですが、杖を使用している方が多いので、受け付け、診察室、注射・採血時 に、杖おき(杖たて)を作りました
この取り組みを通じて変わったことについて職員に意見を聞いてみました。看護師の間では「氏名確認を心がけるようになった。問診を通じて、高齢者のうつや、閉じこもりの問題に注目する必要性を学んだ。難聴の方が多いが、大きい声でなくゆっくり話すことを心がけるようになった。(インフルエンザの季節など)マスクを着用すると声が聞こえにくくなるので、話す時には外すようにしている。患者がゆっくり動くのを待てるようになった。難聴の方には、筆談をするようにしている。杖置きを勧めている。高齢者体験で高齢者の困難を実感し、気配りができるようになった」という意見がでました。
事務職員では「ゆっくり、音節を区切り話すようにしている。説明する時には、相手が理解しているかどうかを意識するようになった」。
沢山 のおみやげをもらいました。
守山所長からの贈呈式(?)です。
デイケア担当の職員では「早く入浴を終わらせたい気持ちを態度に出さないように心がける。分かりやすい説明をする。相手のペースに合わせる」などの意見がでました。
どれも、当たり前のことですが、臨床の現場ではおざなりになりがちな問題で、大いに勉強になりました。
これからも、他の医療生協の地域組合員や診療所の方との交流を進めて行きたいと思います。
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