(第350回 7月13日 )
日本生協連・医療部会発行の、医療生協情報誌comcomの 2010 年7月号のコラム「社会派 しんさつ室 No.4」に掲載された文章を転載します。一部修正しています。
健診シーズンが始まりました。後期高齢者医療制度の開始と共に新しい制度になりましたが、2009年度の後期高齢者の受診率が公表されました。
後期高齢者健康診査は広域連合が責任を持つ仕組みになっていますが、厚労省への報告によれば、2009年度の受診率は2008年度に比べ3%増で、平均24%になる見込みです。
受診率が最も高いのが東京都で55%、続くのが富山県で44%ですが、低い方は和歌山県で5%、広島県が8%でした。
自己負担額の違いや、既に生活習慣病で通院している方の取り扱いの差など、地域によりそれぞれの事情があるのでしょうが、全国一律の制度にも関わらずこれほど差があるのも珍しいと思います。
しかし、受診率が伸びない最大の理由は、何と言っても内容の貧弱さだと思います。「メタボリックシンドローム」に標的を絞った今回の健診制度の弱点が現れています。
医療生協ならではの独自のオプションを用意して、魅力ある健診にしていくのも重要だと思います。自己負担が増えるという問題もありますが、どうすれば健診受診率を上げ、内容を豊かに変えるかの実践が、2010年7月に発足する日本医療福祉連が厚労省に「あるべき健診」を提案する時の資料になるかもしれません。
もう一つは、健康づくり健診問診票の活用です。
2010年2月に行われた下期単協代表者会議で、2008年度にモデル生協で実施された事業のまとめが発表されました。自らが健康だと思うか、毎日が充実しているか、生きがいがあるかなどの「主観的健康度」の比較や、「睡眠」「休養・社会参加」など医療生協の8つの生活習慣の実践状況が明らかになりました。
こういった取り組みを通じて、健康について主体的に取り組む、自分の生活を自分で変える、健康に関する分野での「自己決定権」の実戦を行う事ができます。自治体に対し健診内容を充実させる要望を伝えるだけでなく、新たな提案を行っていく取り組みも重要ではないでしょうか。
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都合により、7月16日と20日は休載します。次回の予定は7月23日です
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