医療費の「定価」にあたる、診療報酬改定が行われました。医療費は2年に1回、介護保険の介護報酬は3年に1回改定されます。
再来年の2012年4月には、医療保険と介護保険の同時改定が行われ、ここで大きな変化が予定されていると言われており、来年の夏頃までの厚労省内部での議論が注目されるところです。
今回の改定にあたって、厚労省は医療費の0.19%増であると説明しましたが、後に薬剤費の追加引下げを行ったため、医療費全体では0.03%、わずか100億円の増となり、実質据え置きとなりました。
後期高齢者医療制度廃止、普天間基地問題など、民主党の「公約破り」に国民の怒りが広まっていますが、「医療崩壊」を防ぐための予算措置をとるとの公約に反した結果となりました。
改定の具体的な内容をみると、小児科や産婦人科の入院部分で一定配慮された変更点があるのは事実ですが、全体としてどれだけの効果があるかは不明で、「医療崩壊」を救う内容にはなっていないというのが実感です。
2008年4月に行われた前回改定時、後期高齢者医療制度創設に伴い、後期高齢者にのみ適用となる項目は15項目ありました(細かく数えると約20項目)。
当時最も批判の多かった、検査の内容や回数に関わらず医療費を1ヵ月6千円の定額制とし、それ以上は必要な検査をいくら行っても医療機関には1円も支払われないという「後期高齢者診療料」は、高齢者に対する医療差別として問題になりましたが、廃止になりました。
また、医師が「回復を見込むことが難しいと判断した後期高齢者について」「病状が急変した場合の治療等の実施の希望及び急変時の搬送の希望」を確認した時に患者1人につき1回2千円算定するという、「後期高齢者終末期相談支援料」が前回改定時に設定されましたが、74才以下の場合は対象とならず、あまりに露骨なやりかただと、批判を浴びましたが、この点数も削除されました。
訪問看護でも同様の「後期高齢者終末期相談支援加算」がありましたが、これも廃止になりました。
そもそも、人生の最後をどう過ごすかについては、年齢に関係なく患者・家族が、必要な場合は医療従事者の意見や考え方を参考にしてよく話し合っておく事が本筋であり、医療費の対象にはなじみません。廃止になるのが当然だと思います。
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