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日本の軍備について考える(普天間基 地撤去 その5)

(第344回 6月22日 )

 6月18日、米国のルース駐日大使は仲井真沖縄県知事と会談し、米軍普天間基地撤去問題をめぐり「基地が及ぼす影響を減らすようさらに努力していきたい」と述べました(NHK)。基地がもたらす負担軽減の最も簡単な解決法は、基地を撤去することです。沖縄に基地はいらない、普天間基地は「移設」でなく無条件「撤去」すべきなのです。

 さて、北朝鮮や中国の「脅威」に対抗するために、日米安保条約も米軍基地も必要だという意見があります。北朝鮮の「拉致事件」や韓国の潜水艦攻撃などは許せません。中国の軍事力の増強を懸念する声も確かにあります。

 しかし、冷静に現実を見てみましょう。2006年のストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の統計によれば、世界の軍事費ランキングで、中国は第4位で514億ドル(世界の軍事費の4.3%)、日本は世界5位で417億ドル(同3.5%)です。日本は中国より2割程度少ないだけというのが実態です。

 日本の「軍備」内容はどうでしょうか。航空自衛隊の主力戦闘機で、行動半径1500kmで中国や北朝鮮を標的にできるF15を200機以上保有しています。ソ連の原子力潜水艦を探知・攻撃する目的のP3C対潜哨戒機は、米国が西太平洋地域で27機しか保有していないのに対し、日本は100機保有しています。ソ連が攻めてくるといって導入した90式戦車は300両あります。

 これらの装備は、ソ連がいつ攻めてくるか分からないという「ソ連脅威論」の元に整備されて来ました。しかし、65年以上前に日本軍の侵略を受けた国にとっては、日本の方がずっと「脅威」を示しているのです。

 「北朝鮮の脅威」についていえば、最も「脅威」を感じるはずの韓国では、ソ連崩壊時と比べ在韓米軍は4割削減されています。韓国合同参謀本部と在韓米軍司令部は、戦時作戦統制権(指揮権)を2012年4月に韓国へ移管する計画に合意しています。軍縮とはいえないまでも、明らかに軍事優先の枠組みから、争いごとは国際交渉へと、解決の舞台を移そうとしているのです。

 「中国の脅威」はどうでしょうか。チャイナフリーという言葉があります。日常使用するもの(食品だけでなく、さまざまな「モノ」)から、中国製品を使わないようにするという意味ですが、そんなことが可能でしょうか。

 「冷凍ギョーザ事件」以来、冷凍食品などに敏感になっている方も多いと思います。しかし、日常の様々な食品、日用品、消耗品(100円ショップがその典型です)など、身の回りから中国製品(made in china)をなくすることは殆ど不可能ではないでしょうか。

 「グローバル経済」の時代です。経済的に大きな関係をもつ国同士が戦争状態に陥ったら、輸出する側も、他国の安い労働力を頼りにしている側も、どちらの国も大きな損失を受けることになります。経済的な関係が大きくなればなるほど、軍事的解決より、話し合いや交渉ごとで問題を解決した方が「安く」つくのです。

 注:軍事費の問題は冷戦当時の情勢の関係で、消滅した「ソ連」という国名を使わないといけません


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