(第342回 6月15日 )
菅新内閣が発足しました。6月9日付の、沖縄県内紙の社説のタイトルを紹介します。「菅新内閣発足 日米合意は無効である」(沖縄タイムス)、「菅内閣発足 対米追従からの転換を 「古い外交」と決別する時」(琉球新報)です。今の沖縄県民の気持ちをよく表していると思います。
さて、6月11日、沖縄駐留米軍が綱紀粛正策を発表しました。「沖縄のアメリカ軍は、駐留するすべての兵士を対象に、午前0時以降、基地の外にある酒を提供する飲食店への立ち入りを禁止するなどの綱紀粛正策を発表」「対象は沖縄に駐留するすべての兵士で、11日から実施されるということです」(NHK)
「綱紀粛正策」をつくらなければいけないほど、米軍人とその家族(米兵等と表記します)の犯罪が多いということを表しています。
米兵等の犯罪はそれ自体許せないものですが、さらに許せないのは、犯罪が法により裁かれることが極めて少ないという事実です。
日本政府は1953年10月、米兵等が公務外に犯罪を起こしても、「日本にとって著しく重要と考えられる事件以外については第一次裁判権を行使するつもりがない」という密約を米政府と交わしていました。この日米密約は、2008年10月に国際問題研究家の新原昭治さんが米側公文書の調査により明らかにしたものですが、外務省の日米核密約の調査の中で、日本側文書の存在が2010年4月に明らかになりました。
琉球新報は「裁判権放棄密約 米兵犯罪裁かぬ理不尽正せ」と題する4月15日付社説で、「政府がつき続けてきたうそがまた一つ明らかになった。米兵の犯罪をできるだけ立件しないという密約のことだ。政府が犯罪を罰しないと公言するのでは、『法治国家』と言えるのか。国民の正当な処罰感情に応えるより、米国のご機嫌取りを優先した形だ。いったいどこの国の政府だろうか。他の密約と比べても、この密約は国民の人権を直接、侵害している点で、ひときわ理不尽、悪質だ」と怒りをあらわにしました。
米兵等の犯罪に関する法務省統計を日本平和委員会がまとめた報告によれば、2001年〜2008年の期間、4000人近い犯罪者のうち起訴されたのはわずか645人で、8割以上が不起訴でした。2009年は、強姦、殺人はすべて不起訴、自動車による過失致死などを除く一般刑法犯では起訴率はわずか21%で、日本全体での起訴率44%の半分以下でした。
ジャーナリストの吉田敏浩さんの調査では、2006年〜2008年に日本が不起訴にした刑法犯1058人のうち、米軍が軍法会議にかけたのはたった10人でした。日本のかわりに米軍が裁くのではありません。日本側が不起訴にしたら「無罪」になるのです。犯罪は、やり放題というのが実態なのです(米兵等の犯罪に関するデータは「平和新聞」より引用)。
やはり、沖縄に基地はいらない、普天間基地は「移設」でなく無条件 「撤去」すべきなのです。
(この項、続く)
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