(第328回 4月16日 )
米国のオバマ大統領とロシアのメドベージェフ大統領は4月8日、プラハで米ロ両国の戦略核兵器をそれぞれ1550発以下に削減する、新たな核軍縮条約に署名しました。署名式はオバマ大統領が昨年4月に「核なき世界」をめざす方針を示す演説を行った広場を望むプラハ城で行われました。核兵器廃絶を求める立場からは大いに歓迎するものです。
日本生協連医療部会は、4月9日、高橋運営委員長名で、以下の声明を発表したので紹介します。
米ロ両国は4月8日、両国の戦略核兵器の上限をそれぞれ1550発以下に削減する新たな核軍縮条約に署名しました。発効すれば両国は配備する核弾頭数を7年以内に3分の1削減する義務を負うことになります。このことは、1年前にオバマ米大統領がプラハで提唱した「核なき世界」にむけた第一歩です。「核なき世界」の実現という目標に照らせば、削減は小幅であり、ゼロにはほど遠いものですが、新たな核軍縮や核不拡散体制の強化につながるものと受け止めます。
しかし、この条約が履行されたとしても、2020年の時点で両国の核兵器は3100発あり、人類を滅亡させるほどの核兵器を保持し続けることになります。オバマ米大統領は今回の条約署名を「長い旅の一歩」と述べました。いま大切なことは両国が核兵器のない世界を実現するためにリーダーシップを発揮し、引き続き「核兵器のない世界の追求」の具体的な道筋を示すことです。
一方、オバマ米大統領は「核兵器が存在する限り、米国も強力で効果的な核抑止力を保持する」としています。両国の核兵器は全世界の95%にもなり、両国が核兵器の全面禁止への動きを示さなければ核兵器拡散の危険も克服することができません。
5月3日からは、ニューヨークにおいてNPT核不拡散条約再検討会議が始まります。この会議では2000年5月に「自国の核兵器の完全廃絶」を約束した核保有5カ国の誠意、真剣さが問われることになります。わたしたちが望むのは、核兵器全面禁止の協議を開始することです。両国にはそのイニシアチブを発揮することを強く求めます。
日本生協連医療部会は、NPT核不拡散条約再検討会議にむけ30万筆を超える核兵器の全面禁止を求める署名を提出します。唯一の被爆国の役割として核兵器の全面禁止を強く望みます。
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