(第327回 4月13日 )
4月からの診療報酬改定について、第325回(4月6日付)の続きです。
民主党は昨夏の総選挙時のマニフェストで後期高齢者医療を廃止する公約をして選挙に勝利しましたが、政権につくとどんどんこの課題を先延ばしにしたため多くの医療関係者と国民の怒りを買っています。
今回の診療報酬改定では、この点がどう変わるかが焦点の一つでした。
後期高齢者のみに適用となる項目をいくつかあげておきます。2008年4月に行われた前回改定時に、後期高齢者にのみ適用となる項目は15項目ありました(細かく数えると約20項目です)。
検査の内容や回数に関わらず医療費を1ヵ月6000円とし、それ以上支払われない、後期高齢者に対する医療差別として問題の多かった「後期高齢者診療料」は廃止になりました。
名前の露骨さで怒りを買った「後期高齢者終末期相談支援料」や、訪問看護の「後期高齢者終末期相談支援加算」も廃止になりました。
それ以外で廃止になったものは、後期高齢者退院時栄養・食事管理指導料、後期高齢者外来継続指導料、後期高齢者外来患者緊急入院診療加算、診療所後期高齢者医療管理料です。
一方、後期高齢者だけを除外していたが今回から後期高齢者も対象としたもの、逆に後期高齢者だけでなく年齢層をひろげたものもあります。
糖尿病・高血圧・脂質異常症(高脂血症)を対象とする生活習慣病管理料は、後期高齢者には指導しても意味がないということで後期高齢者は除外されていましたが、今回から年齢に関係なく算定が可能になりました。
一方、後期高齢者処置は、長期療養患者褥瘡等処置に名称が変更され、後期高齢者の点数は倍化(それくらい低かった)したものの、後期高齢者以外では引下げになっています。
問題が大きいのが後期高齢者特定入院基本料の変更です。重度の意識障がい等をもつ一部の患者を除き、後期高齢者が90日を超えて入院すると報酬が大幅に引下げられる仕組みが、全年齢に広げられました。これまで、「(一般)病院には3ヵ月しか入院できない」と言われますが、長期入院患者が多いと病院経営が成り立たなくなるような診療報酬制度があり、やむなく転院や退院をお願いせざるを得なかったのです。この仕組みが全年代に広げられた訳で、今後大きな社会的問題になると思います。
(この項続く)
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