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香川医療生活協同組合

後期高齢者医療廃止後について考える (その1)

(第320回 3月19日 )

 地方政治新聞「民主香川」に連載している、「「医療改革法」は医療をどう変えたか――医療現場からの報告」の第3回です。2010年2月21日号(1483号)で、「後期高齢者医療制度廃止に向けて(上)」です。一部修正しています。

 2010年度予算審議が始まっています。後期高齢者医療制度を廃止する運動を強めていく必要がありますが、廃止後の医療制度をどうするのか、それは予算的に見て可能か、など「建設的な」提案を行う必要があります。今一度、なぜ後期高齢者医療制度を廃止するのか、論点整理を行います。

 2008年6月に、当時の四野党が共同し参議院で成立させた後期高齢者医療制度廃止法案は、2009年4月に元の老人保健制度に戻す内容でした。

 後期高齢者医療制度の最大の問題点は、75才で線引きをして高齢者だけを分離・独立させた差別的な医療制度であることです。この制度の根拠となる「高齢者の医療の確保に関する法律」の目的は「高齢期における適切な医療の確保を図るために、医療費の適正化を推進」することであり、医療費抑制が狙いであることが明確に記載されています。

 厚生労働省は老人保健制度の問題点として「世代間の不公平」を理由としました。保険料を自分で払って(負担)、医療を受ける(給付)という、負担と給付の関係を明確にするために、独立した制度として保険料を徴収し、給付を受ける仕組みが必要だとし、高齢者をこれまでの保険制度から引き離し、強制的に新しい保険制度に加入させました。そのため、高齢化の進行と医療費増に連動して保険料が自動的に上がる仕組みになりました。

 保険料未納者には保険証の返還と資格証明書を発行するなど、高齢者になかった新たな制裁措置を制度化しました。

 後期高齢者医療の財源は、保険料を10倍したものを総額とし、それを上回る給付が発生すると保険料が連動してあがるという仕組みにしました。高齢化の進行と医療費の増加に連動して保険料が自動的に上がる仕組みで、保険料を引き下げると医療給付も引き下げるというものです。介護保険制度はこれと同じ仕組みで給付の大幅な抑制が行なわれています。

 「後期高齢者医療広域連合」という都道府県単位の新しい組織をつくり、保険者として高齢者の医療費を管理させました。この「広域連合」は、独自の財源を持たず、医療費を管理するだけの組織です。運営責任の所在も不明確で、高齢者・住民の声が届きにくく、問題点を解消するどころか拡大しているといえます。そのため、従来市町村単位であったきめこまかな施策の実行が不可能になりました。

 この仕組みは、将来都道府県ごとの保険一元化を狙ったもので、医療費適正化を競わせる仕組み作りに他なりません。


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