(第319回 3月16日 )
日本生協連医療部会は、2009年2月に、WHO(国連世界保健機構)編著の「Age-friendly Primary Health Care Centres Toolkit」を、医療部会の家庭医療学開発センターの翻訳チームによる日本語訳「WHO版 高齢者にやさしい診療所ツールキット」として発刊しました。
熱心に発表する参加者です。
熱心な発表と 熱心な質疑で時間がオーバーし、
危うく飛行機に乗り遅れる所でした。
本書は、「高齢者がこれから健康で社会参加しつつアクティブに暮らしていくことを推進するためのプライマリ・ヘルスケアとはどうあるべきか」について、WHOの提唱する「アクティブ・エイジングの考え方」に基づき、指導者用スライドと解説をセットにしたものです。
このツールキットを日本で使用するために、「高齢者にやさしい診療所」づくり小委員会を立上げ、全国12のパイロット診療所で約1年間かけて実践して来ました。
3月14日に、東京都内でオブザーバー含め40名余りの参加で、最終報告会が開催されました。12の診療所は、常勤職員5人の小さな診療所から、5階建でショートステイやグループホームを持ち職員100人の診療所や都市部から山間部の診療所までさまざまです。
善通寺診療所もこの1年間取り組んで来ました。その中で、いくつかの改善点が明らかになりました。
・高齢者にやさしい医療やケアを提供するために、明るい照明、開閉しやすい出入口、高齢者にもみやすい掲示など環境の改善が必要であることに気付きました。照明の変更は実施済み、患者確認ミスが聴力機能の低下でも発生しうることから、「お名前を教えて下さい」と氏名確認を行うなどの対策が行われています。
・高齢者とのコミュニケーションについて、診察前に受診の動機や症状の確認、治療への要望などの確認が徹底するようになりました。高齢者は難聴や理解力の低下などのために説明を繰り返しても誤解していることがあり、家族に協力を求めたり、検査の前などタイミングよく確認の電話を入れたり、受診や検査がスムーズに進むように配慮できるようになりました。
・高齢者の総合評価(CGA)は全部の方に行うことは困難なので、「気になる」患者を選択して行いましたが、「うつ」の評価ではこれまでとは異なる視点で高齢者を見ることにつながったなどの成果が得られました。
その他、来年度の方針づくりや活動の参考となる成果が得られました。来年度は今回の経験を生かし、具体的な成果が得られるように活動を行っていきます。
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