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高齢者の「居場所」を考える
(第318回 3月12日 )

 日本生協連・医療部会発行の、「虹のネットワーク」 2010 年2月号のコラム「社会派 しんさつ室 No.42」に掲載された文章を転載します。一部修正しています。

 「平成20年度国民生活調査によれば、65才以上の高齢者のいる世帯は全世帯の41%を超え、そのうち、一人暮らしが22%、夫婦世帯が30%です。子どもや孫と同居していても日中独居という方も数多くいますから、病弱あるいは虚弱高齢者にどう対応するかは、重要な課題です。

 胃がんの末期と思える独居老人の往診を依頼されました。腹水もたまり動くことができませんから、一人暮らしは不可能です。小さいときに別れた子どもが遠方にいますが折り合いが悪く、経済的事情もあり援助は無理だといいます。何とか入院にこぎつけましたが、病状悪化時には個室が必要で、個室料金が発生するためその負担も心配です。

 元気なうちは目立ちませんが、病に倒れるとたちまち問題が顕在化します。こういうケースが日常茶飯事で、社会保障の役割が問われています。一人では暮らせない、入院したらすぐ退院先を探さなければいけない、介護施設はすぐには入所できない、介護サービスの利用はハードルが高い。高齢者の居場所がなくなってきたと感じています。

 7月設立予定の日本医療福祉生活協同組合連合会(仮称)の設立趣意書では、「社会保障の仕組みや医療保障の制度が相次いで変更され、社会的セーフティネットが十分機能しない」ことを指摘しています。

 日本で初めて医療・福祉事業を行う協同組合の全国連合会が発足します。社会に対し様々な提案や政策提言を行えるようになります。50年余りの医療生協の活動を広げていくチャンスだと思います。


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