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診療報酬の伸びは実質ゼロです。医療 崩壊を防ぐために、再引き上げが必要です
(第311回 2月16日 )

 2010年度の診療報酬改定が明らかになりました。医療費の値段ともいえる診療報酬は、自民党・公明党の社会保障削減政策の元で引き下げが続き、「医療崩壊」の一因ともなっています。

 民主党はマニフェストで「救急・小児・外科等の医療提供体制の再建など医療崩壊の阻止には9000億円程度を充てること」としていましたが、実際はどうでしょうか。

 厚生労働省は今回の改定を、検査料や入院料・医師の技術料などの「本体部分」で1.55%増、薬価や材料費で1.36%減で、全体として0.19%の増加と説明していますが、これは「偽装」(1/31付「毎日」)工作によるものです。

 厚労省は、後発品(ジェネリック製品)の普及が予定通りに進んでいないために、目標額通りに普及すれば減ったはずの薬剤費の半分の額相当分、後発品が存在する先発品の価格引下げを行います。この額が600億円あり、これを計算に入れずに上記の発表をおこないました。この600億を差し引くと、伸び率は0.027%で、実質の引き上げはなし、という事になります。

 社会保障充実のためには、さらに診療報酬を引き上げる必要があります。

 全国保険医団体連合会(保団連)は、以下のような談話(要旨)を発表しています。

 答申にあたって全国保険医団体連合会の武田浩一医科診療報酬改善対策委員長は下記の談話を発表した。

 1 これでは「医療崩壊」を止められない

 新政権発足後、医療費削減を求める財界や財務省の大攻勢の結果、昨年12月23日に政府が発表した改定率は総枠で0.19%(本体1.55%+薬価・材料費▲1.36%)の引き上げにとどまった。

 その上、「後発品のある先発品の追加引き下げ」で捻出される600億円(▲0.16%)が総枠からさらに削減され、全体の改定率が0.03%にしかならないことが判明。

 先発品の追加引き下げは、処方せん様式の変更等によるこれまでの後発医薬品の使用促進策による医療費削減とは違って薬価そのものの引き下げであり、当然診療報酬改定財源とすべきである。

 そもそも三党連立政権合意書では、「医療費(GDP比)の先進国(OECD)並みの確保を目指す」とされている。これを踏まえるならば、先発品の追加引き下げで捻出される600億円はもちろん、従来の手法による「調剤薬局が後発品を使用しやすい環境を作る」ことで捻出される760億円の薬剤費削減分も当然技術料の改定財源に入れるべきである。

 2 診療所の報酬引き下げは、地域医療を疲弊させる

 診療所の再診料が2点引き下げられ、再診料は病院・診療所とも69点に統一された。

 2007年6月実施の中医協医療経済実態調査で約17%だった収支差額赤字の医科診療所は、2009年6月調査で約28%に急増しており、医療の再生産すら困難な診療所が増えている。再診料以外にも検査や処置、アナログでのエックス線撮影料等も引き下げられた。

 診療所再診料引き下げ阻止の取り組みの結果、再診料引き下げと引き換えに、標榜時間以外も患者からの電話問い合わせに対応可能な体制を確保している診療所に「地域医療貢献加算(3点)」が新設された。

 しかし、重要なことは通常の診療所の体力を引き上げることである。再診料を引き下げて加算を設定するのではなく、再診料を引き下げずに加算を設定すべきであり、地域医療を守るため、診療所・病院とも再診料を71点に引き上げるよう、強く求めるものである。

 談話の、3 以降は略します。全体は下記のHPを参照下さい。

 http://hodanren.doc-net.or.jp/news/teigen/100212kaitei-danwa-ika.html


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