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生命保険料の控除より、国保や協会けんぽを支援すべきです
(第310回 2月12日 )

 2月5日に提出した税制改正関連法案で、政府は、生命保険料控除を拡充することを明らかにしました。

 生命保険料の控除は支払った保険料の一定額を課税所得から差し引く仕組みで、遺族・介護・医療保障の保険を対象にした「一般生命保険料控除」(控除額の上限は所得税5万円、住民税3.5万円)と、「個人年金保険料控除」の2本立てになっています。

 一見、国民の負担を軽減する政策のように見えますが、実際はそうではありません。現在契約している保険料が対象にならないからです。2012年1月以降に契約した保険のみが適用になりますから、生命保険会社の新たな儲けの手段を政府が準備したということになります。

 「介護・医療分野の保険を「公的な社会保障の補完になる」として優遇し、普及を後押しする」(「朝日」)と評価されていますが、 これは大きな誤りです。

 これまでこの欄でなんども取り上げてきたように、国民保険料は払い切れないほど高くなっています。高松市の場合(2009年度)、40代の夫婦と子ども2人の4人家族で資産なしの場合、世帯所得100万円で年間14万円です(14%)。生活保護基準以下でも保険料負担があります。200万円なら31万円(15%)で、法定減免制度を適用してもこうなります。高松市が特別高い訳ではなく、琴平町なら所得100万円で29万円ですから、とても払い切れないと思います。生活保護制度が優遇されているのではありません。国保が冷遇されているのです。

 香川医療生協のある職員の場合(組合健保です)、所得471万円で保険料は年間31万円(7%)、国保の200万円の世帯所得と同程度の保険料となります。これほど負担が大きくなるのも、国民保険に対する国の負担を大きく減らしたことが原因です。ここにこそ国が支援をすべきです。

 全国健康保険協会(協会けんぽ:以前の政府管掌健康保険)は、2010年度の保険料率を全国平均で9.34%とし、現行の8.2%から大幅な引き上げになりました。さらに、09年10月から地域の医療費を反映させた保険料率となったため、地域間格差も広がり、最も高い北海道9.42%(現行8.26%)と最も低い長野県9.26%(同8.15%)との差は、現在の0.11ポイントから0.16ポイントに拡大しています。

 協会けんぽに対する国庫補助は法律では16.4%から20%の範囲内となっていますが、1992年から経過措置として13.0%になっており、事業者と労働者の負担が増えています。ここでも国庫補助率を、法律本則上の20%に引き上げれば、国民負担は軽減することになります。

 社会保障の「補完」ではなく、社会保障を充実させるための政策こそが最も求められているのではないでしょうか。


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