(第307回 2月2日 )
菅直人副総理兼財務相は1月31日、朝日新聞の単独インタビューに応じ、「税と社会保障の共通番号の導入について「今年中ぐらいに大体の方向性が見えてくる。来年の国会にでも(法案を)出せる形にできればいい」と述べ」、通常国会に関連法案を提出、実現させる考えを示しました。(「朝日」2/1付)
「国民一人ひとりに番号をつけて税や社会保障に役立てる共通番号の導入」を行うというのですから、安倍政権時代に年金記録問題が起き、年金記録管理対策の一環として、参院選直前にあわてて持ち出した「社会保障カード構想」と同様のものだと思われます。
「社会保障カード」は、年金手帳、健康保険証、介護保険被保険者証の役割を一枚のカードにまとめるというもので、一人一枚発行し、年金記録や健康診断の結果が記録され、将来は、雇用保険など他の社会保障分野も対象にするとしていました。
当時の厚労省は、各制度の個人情報を統一する「社会保障番号」の導入は今後の検討課題としていましたから、それより一歩「進んだ」ものといえます。
国民に11桁の番号(住民票コード)をつけ、情報を管理する住基ネット(住民基本台帳ネットワークシステム)は、1999年の住民基本台帳改正時に導入されたシステムですが、昨年6月末での累計発行数が363万枚で人口を1億1千万として3%程度ですから、殆ど普及していないといえます。
社会保障カードは、これにかわるものとして登場した訳ですが、介護や医療の利用情報とは極めて秘匿性の高い「知られたくない」情報も含むものです。これを全て国家が管理することに対する国民の反発は大きいと思います。年金問題でも、社会保険庁の職員が勝手に個人の情報を見ていたとか、年金記録を勝手に書き換えていたとか、現在のコンピュータシステムで、本当にプライバシーが守れるのかという疑問もあります。
政府試算では経費節減は年間数千万円です。ICカードの発行費用を住基カードと同じ1枚1500円とすると、2千億円近くかかります。新たなコンピュータシステムの開発、機器の購入、ランニングコストなどを考えると、どう考えても「事業仕分け」の対象になるのではないかと思います。
新たなムダづかいは、速やかに止めるべきだと思います。
※厚労省のHPより、社会保障カード関連のページを紹介します。
http://www.mhlw.go.jp/seisaku/2009/03/02.html
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/04/dl/s0430-4c.pdf
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