(第302回 1月15日 )
1月8日付けの朝日新聞に「要介護認定 審査委員調査 「大幅見直しを」半数」と題する記事が掲載されました。少し長いですが、引用します。
「淑徳大の結城康博准教授が09年11〜12月、東京、千葉、京都、大分で2次認定審査を担う医師や介護関係者計310人にアンケート。その結果、1次判定で旧基準と比べて軽度に判定される傾向があると約6割の人が回答し、見直しが不十分だとの認識を示した。2次判定で、介護サービスが受けられなくなる「非該当」と判定される人の割合の変化を聞いたところ、約2割の人が「増えた」と答えた。また、現在の認定制度について、「問題が多く、早急に抜本的な改正が必要」が26%、「次回の改正時に大幅に見直すべきだ」も22%と、大幅な見直しが必要と考える人が半数近くいた。現行制度の問題点について、「1次判定では、在宅の人は軽度に、施設入所者は重度に判定されている」「軽度の認知症の人の介護の手間が1次判定では反映されていない」などの意見が挙がった」
介護保険の認定審査の問題点については、本欄の258回、265回などで取り上げて来ました。介護度の低い人ほど、より低く判定されるという問題点が明らかになり、2009年4月から開始された新判定制度は結局、新制度での判定結果如何に関わらず、本人の希望で判定以前の介護度を適応するという、極めて矛盾の大きい制度となり開始されました。
その後、判定法を再度変更し10月から新・新判定法で認定されることになったものですが、今回の報道は、10月から変更した制度でもやはり矛盾が大きいことを示すものです。この際、いったん2009年3月までの制度に戻すべきではないでしょうか。
現場で仕事をしている人間の率直な気持ちでいうと、軽度要介護者ほどより軽く認定される、特に軽度の認知症の場合、介護が必要であっても、要支援、時には自立と判定される場合が多い、と思います。
そもそも、お金と人手をかけて介護度を判定する制度そのものに問題があるのではないでしょうか。ケアマネジャーの研修をきちんと保障し、現場を良く知る人の判断で、利用者(家族)との合意の元に必要な介護を受けられる、そういった制度の方が納得がえられるのではないでしょうか。
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