(第301回 1月12日 )
日本生協連・医療部会発行の、「虹のネットワーク」 2010 年1月号のコラム「社会派 しんさつ室 No.41」に掲載された文章を転載します。一部修正しています。
「事業仕分け」が注目を浴びています。これまで密室で行われて来た議論が「公開」されたことや、天下りの実態が明らかになるなど、総選挙の結果が示す「政治を変えてほしい」という国民の意思を反映している点は評価すべきです。
一方で、仕分け対象事業の7割が財務省の提案であり、あらかじめ作成されたマニュアルにより問題点を列挙し、担当省庁の反論に対する再反論の方法まで指南していた事も明らかになりました。また、国民の大きな怒りを呼んだ後期高齢者医療制度は見直しの対象外になりました。
11月30日、厚生労働大臣は「後期高齢者医療制度改革会議」を発足させ、現行制度を3年後の13年3月まで存続させた上で新制度に移行する、国民保険の負担を抑制するなどの基本方針が示されました。しかし、財源をどうするのか、医療保険制度全体をどう変えて行くのかは不明瞭で、実現可能かどうかは霧の中です。
08年6月に、当時の4野党が共同し参議院で成立させた後期高齢者医療制度廃止法案は、09年4月に元の老人保健制度に戻す内容でした。新政権の政策は、従来の主張から大きく変わったということになります。
後期高齢者医療制度が続くなら、保険料は際限なく上昇します。厚労省の試算でも、全国平均で12%あがります。東京都広域連合の試算では、新政権の軽減措置を講じても、平均的な厚生年金受給者で、単身世帯で年1万円、夫婦世帯で年1万2千円あがります。不評の多かった保険料の年金天引きや現役世代の負担増も続きます。保険料未納者に対する保険証取り上げも変わりません。
新政権の政策に国民の意思を反映させるためにも、今こそ「後期高齢者医療制度を速やかに廃止せよ」の声を大きく広げていく時ではないでしょうか。
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