(第295回 12月15日 )
新型インフルエンザワクチンに関する話題を、第283回、290回で取り上げました。今回が、第3回です。
インフルエンザの予防接種で医療現場が混乱しています。
季節性のインフルエンザワクチンですが、一時期入荷困難な時期があったため、多くの医療機関で予約制限を行っていました。善通寺診療所でも、10月末に予約が殺到したため予約の制限を行いました。しかし、小児を中心に新型インフルエンザが大流行したり、不況の影響でしょうか、接種料金のより安い医療機関を選ぶなど、予想以上に予約のキャンセルがでました。
医療機関によっては、新型ワクチン接種の時期と重なったこともあり、季節性のワクチンの返品もあったようです。
そんな訳で、皮肉なことにまだ接種可能な状況になっています。
一方、新型用のワクチンは、接種対象が限られているため、医療機関によって、重篤な疾患をもっていてもうつことができないなど、地域差がでています。
これまでのワクチンは通常1本に1ml入っています。13歳以上は0.5mlを使用しますから2人分という事になります。患者数が偶数ならムダなく使えます。小児は年齢により、0.1、0.2、0.3mlで、計算は面倒ですがそれほどムダはでません。
ところが、1月以降は10ml入りのバイアルになります。こうなると、13歳以上で20人こないと、余りはムダになり廃棄することになります。病院ならともかく、診療所レベルでも20人(低年齢なら30人以上)こないと使用期限が過ぎれば廃棄することになります。
そんなこともあってか、香川県内でも使い切れないという理由で返却する医療機関もでています。善通寺診療所でも、12月中旬に10mlバイアルが7本くる予定でしたが、使用可能な分以外は返品することになりました。誰にでも使ってよいというのなら可能な限り使用するのですが、ムダづかいにならないように配慮するとこういう結果になります。
やはり、行政が音頭を取って集団接種の仕組みを作らない限り、この問題は解決しません。いまのところ、学校が接種可能な医療機関を「紹介する」ことになっていますが、これではムダなく使えるかどうか不明です。しかも、土曜か日曜(休日)にという要請ですから、責任を民間に転嫁する気か、といいたくもなります。予約取りの電話の手間を考えると、事務手数料はでないのかといいたくもなります。
厚労省も有効な手立てを打ち出そうともしていません。政権は変わったが、政治は少しも変わっていない、というのが医療現場の実感です。
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