(第293回 12月8日 )
厚生労働省は11月30日、新しい高齢者医療制度を検討するための「高齢者医療制度改革会議」(座長=岩村正彦・東大大学院法学政治学研究科教授)を開きました。長妻厚労相は(医療制度を)「持続可能にすることが国の信頼回復に不可欠だ」とあいさつし、制度の抜本改革に取り組む意向を示したと伝えられます。
厚労省のホームページによれば、新たな制度のあり方の検討に当たっては、以下を基本として進める、とされます。
[1] 後期高齢者医療制度は廃止する
[2] マニフェストで掲げている「地域保険としての一元的運用」の第一段階として、高齢者のための新たな制度を構築する
[3] 後期高齢者医療制度の年齢で区分するという問題を解消する制度とする
[4] 市町村国保などの負担増に十分配慮する
[5] 高齢者の保険料が急に増加したり、不公平なものにならないようにする
[6] 市町村国保の広域化につながる見直しを行う
元々、2008年4月に当時の4野党が「後期高齢者医療制度を廃止する等高齢者の負担の増加を回避する」ための法案を提出し、参院で成立させました。
その中味は、後期高齢者医療制度を廃止し老人保健法にいったん戻すこと、医療費適性化計画や特定健康診査をやめ元に戻すこと、など2008年3月末の状態にいったん制度を戻して、再度よりよい改善を図っていくことになっていました。
民主党は政権に就くなり態度を豹変させ「老人保健法に戻すのに2年かかる」「混乱を生じさせてはいけない」と、廃止法案に反対した自民・公明の旧与党や厚労省が述べたのと同じ理由で、廃止に対し横車を押しています。
このまま、後期高齢者医療制度が続くと、国民保健など家族単位で加入していた保険から強制脱退させられ、新たな保険料が課せられます。厚労省の試算でも全国平均で12%あがります。新政権が検討している「軽減措置」を講じても東京都広域連合の試算では、平均的な厚生年金を受給している単身世帯で年1万円、夫婦世帯で1万2千円値上げになるといわれています。
保険証取り上げや短期保険証発行など、一定の対策を取るとも伝えられていますが、詳細は明らかではありません。
2011年1月に新制度に関する法案を提出、春には成立させ、2013年4月から新しい高齢者医療制度に移行する計画となっていますが、速やかに後期高齢者医療制度を廃止せよ、の声を大きくあげていく必要があります。
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