(第275回 9月29日 )
日本生協連・医療部会発行の、「虹のネットワーク」 2009 年10月号のコラム「社会派 しんさつ室 No.38」に掲載された文章を転載します。一部修正しています。
今春の大学進学率が50%を突破しました。しかし、先進国の中では学費が際立って高く、進学を諦めざるを得ない、入学できても卒業できないなど問題を引き起こしています。
子弟が看護大学への進学を希望している方が、高学費を嘆いていました。「オープンキャンパスにいったが、看護の理念より、就職先を早く決めて奨学金をもらうように言われた」とか、「説明会にいったら、親子で同じ封筒に入った資料をもらったが、親への資料は学費が中心だった」そうです。
インターネットで調べみると、ある大学では、初年度は入学金含め190万円、2年目からは年間150万円でした。大学のホームページも、目立つところに奨学金のお知らせの欄があります。卒業までに700万円が必要というのが、常識のようです。
高校の授業料も問題です。「県立高校の授業料滞納について4段階の対応をし、滞納8ヶ月で退学などのルールを確立した」という県もあります。
日本政策金融公庫の調査では、「高校入学から大学卒業にまでかかる費用は子ども一人当たり平均1045万円、教育費は年収の34%にのぼり、とくに年収200〜400万円の世帯では55.6%に達し」ます。
今回の総選挙で、国民は自らが政権を選ぶという経験をしました。これからは、具体的な政策国民の意見を反映させる時代です。選挙中の党首討論会で、返却不要の奨学金制度を作ることに、参加したすべての党首が賛成をしました。明日の日本を背負う若い世代、医療や介護の仕事に希望を持つ若者を支援する政策が必要です。
後期高齢者医療制度の廃止など、社会保障を充実させる政策を実現させるためにも、この秋は大きな国民的な運動に力を入れる必要があります。 |
追補
この文章の載った「虹のネットワーク」を読んだ方から、こんなメールを頂きました。
「社会派しんさつ室」を読んでいて怒りが蘇りました。今年3月、ある高校で授業料滞納の生徒に卒業証書を渡さないという悲しい問題が起きました。
もっとも悲しいのは、校長の「渡さない理由」で、「生徒に社会のルールというものを教えるため」「卒業証書がなくても卒業が取り消される訳ではない」というのです。
生徒の心に傷をつけて(当該生徒だけでなく大勢の生徒や教職員も)平気で教育者然としておれますね。
高校は義務教育でないから・・・というのでしょうね。「教育の機会均等」は高校や大学には及ばないという考えなのでしょうね。
今回の政権交代を機に、「親の経済的な問題」で悲劇がおきないような、社会的な仕組みを作る運動が必要だと思います。
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