(第273回 9月18日 )
これまでも何度かこの欄で取り上げて来た、エタニットパイプ社(現・リゾートソリューション社。略称は「リソル」で、三沢不動産やコナミなどの関連会社です)のアスベストじん肺訴訟の判決が出ました。内容に少なからず問題点があるものの、企業側が「時効」の壁に逃げこむことを許さず、既に死亡した方も含めて責任を認めた点で重要な判決であったと言えます。
香川医療生協の高松平和病院・生協みき診療所は、検診や治療など医療面だけでなく運動面でも全面的に支援を行いながら、訴訟を支えて来ました。平和病院やみき診療所が加盟する香川民主医療機関連合会(香川民医連)のアスベスト労災対策会議の梶義照代表(生協みき診所長)は、以下のような談話を発表しました。
2009年9月16日
リゾートソリューション アスベストじん肺訴訟高松地裁判決について
香川民医連アスベスト労災対策会議
代表 梶義照
9月14日高松地裁(吉田肇裁判長)は、昭和33年に国の通達が出されて以降の企業側に安全配慮義務違反があったことを認め、原告25人に損害賠償責任を命じました。そのなかには死亡後10年以上たった2人の原告も含まれ、被告側の主張であった「時効」を退けました。企業責任を厳しく断罪するものであり、今後のアスベスト被害救済にも大きく影響するものとして評価します。
しかし、昭和33年以前の死亡者を認めなかったことや家族の被害について「因果関係が立証されていない」として訴えを棄却したことは問題として指摘せざるを得ません。
請求団結成から3年以上が経過し、この間6人の原告が亡くなりました。被害者の平均年齢は77歳を越えています。一日も早い被告企業の謝罪と被害者の全面救済を強く求めます。 |
香川県におけるアスベスト問題は、エタニットパイプ社だけでなく、神島化学(三豊市詫間町)、造船業、旧・国鉄、電気関連会社など、多くの業種で認められます。アスベストは暴露後20〜30年後に大きな健康上の問題を引き起こします。引き続きこの問題に取り組んで行きたいと思います。
※9月22日は休日なので休載。次回は9月25日(金)です。 |