(第265回 8月11日 )
これまでも何度かこの欄で問題にしてきた、4月からの要介護認定の見直しについて、厚生労働省は7月28日に「第3回要介護認定の見直しに係る検証・検討会」を開催しました。
検討会に提出された資料によると、調査員による報告を元にしたコンピュータ判定では、4・5月データでの比較で、非該当(自立)が2007年3.5%、08年3.4%に対し、09年は7.5%と、2.2倍に増加、施設入居者でも0.6%から1.7%と2.8倍に増えていました。施設入居者が自立になると事実上の「施設追い出し」になる訳で、問題は大きいと言えます。
新規申請者でも2007年5.7%、08年6.0%に対し09年は11.4%で2倍になっていましたから、「介護保険からの締め出し」を狙った制度改定だったといってもよいと思います。
利用者や介護保険事業従事者など全国からの抗議の声もあり、10月1日から再度見直しとなりました。この4月からの見直しは、モデル事業を行った結果を受けてのものですから、一体何のためのモデル事業だったのか、ということになります。
しかし、制度全体が見直される訳ではありませんから、介護を必要とする方が必要な介護を受けられる保証はありません。さらに、この問題を注視する必要があります。
今回の「見直し」を受け、日本生協連医療部会では、高橋運営委員長名で、以下の声明を発表したので、紹介します
新要介護認定制度を廃止して、必要な介護の保障を!
今年4月から実施された新要介護認定制度は、導入前から、心身に特別な変化がなくても要介護度が軽度に判定され「必要なサービスが受けられなくなる」など、利用者・事業者を含め批判の声が相次いでいました。
厚生労働省は、「自立(介助なし)」を「介助されていない」とする判定基準の一部手直しや、当面、利用者の希望に応じ従前の要介護度とする「経過措置」を導入するなど、場当たり的な対応を行ってきましたが、要介護度が軽度に判定されると批判されていたとおり、介護サービスを受けられない「非該当」や従前より「軽度」と認定される割合が増加しました。
世論の高まりの中、厚生労働省は、「第3回 要介護認定の見直しに係る検証・検討会」にて、要介護認定制度の見直しを決めました。
しかし、制度そのものは維持され、利用者の実態と乖離した内容であることは何ら変わりません。
私たちは、新要介護認定を判定基準の一部見直しにとどめるのではなく廃止することを強く要望するものです。また、改めて必要な介護サービスを受ける権利を守り、誰もが自分らしい生き方ができるような要介護認定制度の策定を求めます。 |
以下の、HPを参照下さい。
http://www.mhlw.go.jp/za/0728/d05/d05.html
http://www.jhca.coop/topics/2009/090805_01.html
※お盆・夏休みのため、8月14日(金)と8月18日(火)は、休載します。次回は8月21日(金)です。 |