(第255回 7月3日 )
シンポジウムの様子です
6月18日(木)日本生協連(日本生活協同組合連合会)第59回通常総会・医療部会全体会が開催されました。医療部会は総会を5月18日〜19日に開催していますから、全体会という形で講演や学習会を例年開催しています。
今年は、医療生協の全国連合会結成を目前に控え、シンポジウム「医療生協連合会の力を考える〜医療生協、そして新連合会に期待すること〜」を開催しました。シンポジストは、以下の4人の方です。
櫻井 勇 社団法人JA総合研究所基礎研究部主席研究員
リム・ボン 立命館大学産業社会学部現代社会学科教授
日野 秀逸 医療部会副運営委員長・国民医療研究所所長
藤谷 恵三 医療部会事務局長
はじめに、櫻井氏は、「公的医療機関の9原則」を挙げ、「普遍的且つ平等に利用し得るものであること。当該医療機関の経営による収益を、その医療機関の内容の改善のための用途以外に使用しないような経営主体であること」など、医療生協もその基準を満たしているのではないか、是非検討すべきであると指摘しました。
また、地域社会の高齢化や医療を含めたくらしの安心について、「社会の安心システムが崩壊に向かっている」実例として、0〜4才児の死亡率が先進国で最大になった、救急体制の弱体化と産婦人科・小児科の体制崩壊などを挙げました。
高齢者のくらしの安心での課題には、大きなニーズがある。医療だけでなく介護やくらしにも視野を広げる必要がある、移送サービスなしに介護は成り立たない。医療生協の全国連合会も、保健・医療・福祉の連合体であるべきと、期待を述べました。
リム・ボン氏は、危機に強いのが医療生協だと、指摘しました。危機には、社会保障や医療崩壊などの社会的問題や、自然災害、人災などがあるが、不幸なことだが必ず発生する。予期しないところで発生し、その後どうやって復興するかが課題となる。
阪神大震災の場合、最初は医療支援だったが、ついで、住居の確保など衣食住の問題になった。しかし本当に大事なのは復興までのプロセスで、こういう時にこそ、協同組合の力が発揮される。
これからも、医療支援だけでなく、生活支援、まちづくりに大きな役割を発揮してほしい、と述べました。
日野氏は教育の課題、藤谷氏は3人からの問題提起に答え、全体で熱心な討論が行われました。
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