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 日本生協連医療部会の機関誌comcomは、医療生協の活動がわかる唯一の雑誌ですが、2008年12月号に「呼吸困難」(息切れ、息苦しさなど)をテーマに掲載した文章を再録します。一部修正しています。

  健康シリーズ「息切れについて」 (第251回 6月19日 )

 体育の日の10月13日に、九州の高層ビルで高さ123mの所にある展望台まで577段の階段を上る催しが行われました。テレビには、息を切らせて上る参加者の映像が流れていました。

 少し極端な例を出しましたが、「息切れ」(呼吸困難)とは、息をするのに苦痛を感じたり、息がつまる、空気が入ってこない感覚のことをいいます。主観的な症状であり、運動不足、肥満、疲労、睡眠不足などが原因の事も多く、ストレスと関係していることもあります。

 突然起きる場合は、肺炎、気管支喘息、肺の一部が破れる自然気胸、エコノミー症候群で有名になった肺塞栓など、緊急に治療を必要とする場合多いため、速やかに医療機関を受診すべきです。

 ここでは、徐々に症状が出現する場合を取り上げます。

 タバコを吸う人に多い病気が「肺気腫」です。喫煙により肺の組織が徐々に壊れていき、空気中の酸素を血液中にうまく取り込めなくなる病気です。体を動かす時に血液中の酸素濃度がさがるために息切れが起きます。病気が進行するとじっとしていても症状が出現するようになります。

 心臓の筋肉の力が落ちて来る「心不全」では、心臓から全身に血液を十分送り出すことができなくなります。そのため、体を動かした時に息切れが起きるようになります。同時に体のむくみが、下肢を中心にあらわれます。病状が進行すると顔のむくみを認め、体重も増加します。

 「貧血」が起きると、血液の中で酸素を十分運ぶことができなくなり息切れがおきるようになります。血液中の鉄分が低下しておきる鉄欠乏性貧血は、女性に多い病気ですが、その背景に胃や腸からの出血が存在することもありますから、要注意です。

 病状が悪化すると夜間に症状が出現することがあります。心臓や肺にかかる負担を減らすために、座った方が呼吸が楽になります。これを「起座呼吸」(きざこきゅう)と呼びます。「夜中に急に息苦しくなり寝ていられなくなったが、起きて座ると少し楽になった」というエピソードがあれば、心臓や肺の病気が少し進んで来た可能性があります。

 どんな時に症状が起きたのか、医師に具体的に話すことが大事です。

 例えば、「これまでは仕事場に階段で上がってもどうもなかったが、最近は途中で一休みしないといけない」「平地を歩くのはどうもないが、坂道を上ると途中で休憩しないといけなくなった」「夜中に急に息苦しくなり寝ていられなくなったが、起きて座ると少し楽になった」などです。

 いつ頃から、どんな症状があったか。どんな時に症状が出現するか、どのくらいの時間続くか、など自分の症状についてメモを取ってから受診すると医師の診断の参考になります。

 資料

 ※息切れや呼吸困難の程度を客観的に表現する方法として、ヒュージョーンズ分類があります。1度が軽症、5度が重症です。

 1度 同年代の健常者と同様の生活・仕事ができ、階段も健常者なみにのぼれる

 2度 歩行は同年代の健常者並にできるが、階段の上り下りは健常者なみにできない

 3度 健常者なみに歩けないが、自分のペースで1km程度の歩行が可能

 4度 休みながらでなければ50m以上の歩行が不可能

 5度 会話や着物の着脱など身の回りのことをするにも息がきれる


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