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 日本生協連医療部会の機関誌comcomは、医療生協の活動がわかる唯一の雑誌です。シリーズ「こんなときガマンが禁物」に「胸痛」(きょうつう=胸が痛くなること)をテーマに掲載した文章(2007年10月号)を再録します。一部修正しています。

健康シリーズ「胸がいたくなる病気について」 (第242回 5月15日 )

 今回から、どんな時に医師に相談したらよいか、というテーマで連載を始めます。最初は「胸が苦しくなる」「胸の痛みを感じる」時にどんな病気を疑うか、についてお話しします。

 代表的な病気は心臓疾患で、特に狭心症と心筋梗塞です。

 狭心症の分類はいくつかありますが、発作の起き方で分類すると、労作(ろうさ)時狭心症と安静時狭心症に分けられます。いずれも、胸が締めつけられるような、押さえつけられるような圧迫感を感じます。人によっては、あご、歯、みぞおち、左腕などにも症状が現れることもあります。

 労作時とは、階段を上る、早足で歩く、重い荷物を持つ、などの体を動かした時の事です。安静時の発作は早朝や就眠前など夜間に起きる事が多いようです。

 心筋梗塞は、心臓の筋肉に栄養を送る冠動脈の動脈硬化によりおきる病気で、動脈硬化で狭くなった血管に血のかたまりが詰まって起きる病気です。この場合、30分以上続く強い胸痛が特徴で、冷や汗を伴ったり強い不安感に襲われます。こういった症状は、すぐに医療機関に相談すべきです。

 心臓のまわりには、心臓を保護する心膜(しんまく)に炎症がおきる心膜炎の場合も、胸痛を感じます。鋭い胸痛が数時間〜数日間続き、肩にも痛みを感じることがあります。大きく息を吸ったり咳をする時に痛みが強くなる傾向があります。

 心臓疾患の発作時には、脈の乱れや、脈が極端に早くなったり逆に遅くなり、めまいや失神を伴う事もあります。

 心筋梗塞のような強い痛みを起こす病気に、解離性大動脈瘤があります。動脈の壁はベニヤ板の様な三層構造になっており、真ん中にある中膜が弱くなり血液が血管の壁の中にたまる病気です。症状は突然出現し、血管が縦にさける(解離)ための痛みと、それに伴う様々な障害による症状があります。痛みは激烈で、胸の血管におきると強い胸痛がおきます。血管の解離の場所によって、前胸部痛から肩や背部、腹部などさまざまです。

 胃液が食道に逆流しておきる逆流性食道炎でも、胸の痛みを感じる事があります。

 ここで述べた病気は、心膜炎や逆流性食道炎を除き、動脈硬化と強い関係を持っています。ですから、高血圧症、糖尿病などの病気を持った人は特に注意をする必要があります。

 これまでに述べた胸の症状が数分以上続く場合は要注意です。特に息切れなど呼吸が苦しくなるようなら早目に受診した方がよいでしょう。

 その際、症状がおきた状況を詳しくメモしておきましょう。時間帯、早朝、深夜、仕事中、時間には関係ない、などが重要です。きっかけも、安静時、労作時(重い荷物を持ち上げた時、階段を上る時、興奮した時………)など、具体的な内容が参考になります。症状の持続時間も、瞬間的、数秒、数分、1時間以上など具体的に。また、息を吸うと症状が強くなるまたは楽になる、座ると楽になる、横になると楽になる、なども診断の手掛かりになります。


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