(第238回 4月24日 )
エタニットパイプ(現・リゾートソリューション)が屋島沿岸に放置していた
石綿(アスベスト)管。マスメディアの報道の後、高松市が撤去しました。
4月18日に善通寺診療所で開催された「じん肺・石綿(アスベスト)学習会」の続きです。
アスベストに関連する疾病は、(1)石綿肺、(2)原発性肺癌、(3)中皮腫(胸膜、腹膜、心膜、精巣鞘膜)、(4)良性石綿胸水、(5)びまん性胸膜肥厚の5つです。
石綿肺や胸膜の変化は早ければ10年くらいで出現しますが、肺がんや悪性中皮腫は20年〜40年経ってから出現しますからやっかいです。40年後に出現して過去の職業について詳しく聞いても、十分分からないことが多いからです。
石綿を吸引する仕事に従事していると、肺がんになる確率は約10倍に上昇します。石綿を取り扱っている方がタバコを吸っていると、肺がんになる確率は50倍から100倍になります。
中皮腫は悪性の病気ですので、悪性中皮腫ともよばれます。中皮とは漿膜(しょうまく)と呼ばれる透明な膜で、肺、心臓、消化管などの臓器の表面と体壁の内側を覆い、これらの臓器がスムーズに動くのを助ける役割を果たしています。中皮腫はこの漿膜の表面にある中皮細胞に由来する悪性腫瘍です。有効な治療については確立しておらず、手術か薬物(化学療法)も満足いく結果は得られていないのが現状です。
学習会の後半は、建交労香川県本部の合田書記長による労災申請に関する具体的なお話です。学習会後の質疑応答でも話題になりましたが、じん肺・石綿(アスベスト)については、「管理区分申請」と「労災認定」がありますが、この2つを混同している方が多いのが特徴です。
労災疾病等13分野研究普及サイトによれば、じん肺の管理区分は「粉じん作業従事者のじん肺予防のための作業内容の監督や指導、健康管理の指標となります」とあります。つまり、「労災認定」や「疾病治療」とは関係ないということです。
「管理区分」申請を行って「管理手帳」を取得しても、「労災認定」されたことにはなりません。ところが、多くの労働者は「管理手帳を持っているので労災認定された」と勘違いしている人が多く、いざ症状が悪化したときに困った事になる例が多数あります。
会の最後に、エタニット・パイプの訴訟団(第12回参照)から、協力の訴えがありました。「裁判を始めて3年間で6人の仲間が死亡した。納得いく解決を求め、命の重さを訴えて闘っているが、会社は謝罪もしない。是非大きな支援をお願いしたい」
この運動を大きく広げていきたいと思います。
注:以下のHPを参照下さい。
※労災疾病等13分野研究普及サイト
http://www.research12.jp/jinpai/index.html
※エタニット・パイプの訴訟について
http://www.kagawa.coop/closeup/hiraihou/20061031.html
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