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じん肺・石綿(アスベスト)労災学習会を開催しました (第237回 4月21日 )

善通寺診療所の2階で学習会を開催しました。
善通寺診療所の2階で学習会を開催しました。

 4月18日午後、善通寺診療所で、建交労(全日本建設交運一般労働組合)と共催で「じん肺・石綿(アスベスト)学習会」が開催され、30名近くの方が参加しました。講師は私と、建交労香川県本部の合田書記長です。

 学習会に先立ち4月11日に三豊市詫間町のマリンウェーブで、アスベスト労災相談会を開きました。今回の学習会には、通院中の患者さんや職員の他、相談会の参加者や相談会開催のチラシで取り組みを知った方が12名参加しました。私は石綿(アスベスト)の基礎知識とアスベスト関連疾患について、45分間お話をしました。

 アスベストの語源はギリシア語で、「ア(a:不)」+「スベステン(sbesthen:消滅する)」、つまり「消滅することのない」物質という意味です。古くは、紀元前数百年前にエジプトのミイラの梱包に石綿の布が使用されたり、平安時代後期に奥州藤原氏のミイラの保存に石綿が使用されています。「竹取物語」の中には、言い寄る5人の男にかぐや姫が課した難題のうち、阿倍御主人(あべのみうし)に持って来るように言った「火鼠の裘(ひねずみのかわぎぬ)」がアスベストであると考えられています。

 しなやかで糸や布に織ることができる、摩擦に強い、燃えない、熱や音を遮断する、電気を通しにくい、細菌や湿気に強い、そして安価であることから、戦後日本経済復興の重要な資材として、自動車を初めとする各種産業機械のブレーキや、工業用建築物、水道管、住宅用資材の屋根材や壁材などに様々な形で利用されて来ました。

 日本における輸入量は、1950年以降増加し1960年代初めに10万トンを越し、1974年に35.2万トンとピークに達しました。しかし、1972年に世界保健機関(WHO)がアスベストの発がん性を明確にし、1986年に国際労働機関(ILO)が、アスベストの中でもとりわけ危険性の高い青石綿や茶石綿の使用を禁止する石綿条約162号を採択したにも関わらず、日本では1990年初頭までは年間20万トンを越す輸入を続け、使用を続けて来ました。

 この政府の無策が被害を一層広げたと言えます。アスベストは吸引後40年くらいたってから肺がんや悪性中皮腫が出現するため、静かな時限爆弾ともよばれます。先述したアスベスト労災相談会を地域に広く知らせるため、西讃にある窯業系建材(エクステリア事業)を生産する事業所の元職員宅を建交労の方が訪問したところ、葬儀に遭遇しました。参列者に聞くと肺がんで死亡したそうです。アスベストとの関連は不明ですが、運動を大きく広げていく必要があります。

 私の講演のあと、合田書記長がアスベスト・じん肺の労災補償の仕組みや問題点を説明しました。

(この項、続く)


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