(第211回 1月6日 )
あけましておめでとうございます。今年も医療・健康づくりなどをテーマに情報発信を行っていきたいと思います。
さて、昨年秋のトヨタ自動車九州から始まる、派遣労働者・期間労働者の首切りや雇い止め問題は、非正規労働者だけでなく正規労働者の人員削減などにも広がり、大きな社会的問題になっています。年末には、労働組合やNPO等がつくる実行委員会による日比谷公園の“年越し派遣村”に想定を超える人数が集まり、実行委員会の要望に基づき厚労省は2日公園に近い庁舎内の講堂を宿泊用に開放しました。1月4日付「朝日」は、「派遣村は仕事始めの5日朝に活動を終えるため、実行委員会が厚生労働省などと調整した結果、5日から12日まで、都内4カ所の公共施設に500人分の宿泊場所を確保することになった」と報じています。
一方、麻生首相は4日行われた年頭記者会見で「それぞれに良い正月を迎えられたことと存じます」「安心して暮らせる日本。活力ある日本。この思いを年初め字に込めたいと存じます」と述べましたが、情勢がまったく分かっていないのではないかと感じます。5日の総務省の仕事始めのあいさつで、坂本哲志総務政務官は、「年越し派遣村」に集まった失業者らについて「本当にまじめに働こうとしている人たちが集まってきているのかという気もした」「学生紛争の時の戦略のようなものが垣間見える」などと、的外れな発言を行っています。
この問題は、自民党や民主党などの賛成多数で成立した、派遣労働の「原則自由化」(99年)や製造現場への派遣労働解禁(04年)などがその背景にあり、まず政治の責任が問われると思います。同時に、12月26日付(第210回)でも指摘したように、非正規労働者を利益の安全弁に使って来た大企業の社会的責任が問われます。
1月4付「しんぶん赤旗」は、リストラの先頭に立つ自動車、電機など資本金10億円以上の大企業製造業の「利益剰余金と資本剰余金の合計額は、98年9月末時点での約76兆7300億円から、2008年9月末には1.4倍の約109兆1505億円に増加しています。」「1年間の平均増加額約3.2兆円だけで、正社員の平均年収の62万人分に当たります。剰余金だけでみても、雇用を維持する体力は十分にあります」と指摘しています。
1月1日の「読売」社説は「新自由主義・市場原理主義の象徴だった米国型金融ビジネスモデルの崩落が、世界を揺るがせている。急激な信用収縮は、実体経済にも打撃を与え、世界は同時不況の様相を深めつつある」と、単に一時的な経済の悪化ではなく構造的な問題であると述べています。
香川県内でもいくつかの企業で、首切りが始まっています。「病院にかかれない」どころか、「衣食住」にさえ困る「生存権」の問題としてとらえる必要があるのではないでしょうか。
■日生協医療部会の新年の御挨拶が、You Tube に掲載されています。
高橋運営委員長の年頭所感は、以下のアドレスで、
http://jp.youtube.com/watch?v=HaVLEjFytis&feature=channel_page
藤谷事務局長の年頭所感は、以下のアドレスで見ることができます。
http://jp.youtube.com/watch?v=QYYq_k8ezDI&feature=channel
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