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博報堂の「生活定点調査」を紹介します
(第208回 12月12日 )


 「人権としての脱貧困」と題した、東京新聞の社説を紹介します(12月7日付)。「努力しても人間らしく生きられない人たちを放置するのは許されません。経済危機でより深刻化する貧困や不安を「人権問題」として考えましょう。スーパーのレジの前で数十円の予算超過に悩み、財布をのぞき込むお年寄りが増えたそうです。………高級ホテルのバーに通う麻生太郎首相には、こうした不安、貧困は理解できないのではないでしょうか」と始まるこの社説は、幸福追求権を定めた憲法13条や、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障した25条に触れ、「すべての人が人間としての尊厳を維持しながら暮らしていけるように、雇用と社会保障に対する一体的取り組みが求められます。そのためには「恩恵」としての貧困対策から「権利」としての貧困対策への発想転換が必要です」と結びます。

 医療・介護の現場で働く私たちに取って、「その通り」と合の手をいれたくなるような納得いく文章です。是非、全文をお読み下さい。

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2008120702000087.html

 さて、この社説に引用される「博報堂生活総合研究所の生活定点調査」に目を通してみました。この調査は、首都40km圏、阪神30km圏(東京・埼玉・千葉・神奈川・茨城・大阪・京都・兵庫・奈良の7都府県)の、20歳〜69歳の男女が対象です。1992年以降偶数年の5月に調査、サンプル数は2002年までは2000名規模、2004年以降は3000名規模で行なわれています。「若年者」「地方」「高齢者」の動向が反映されていないという弱点はありますが、経済や文化の変化をよく反映した特徴を読み取ることができます。

 2008年データと過去のデータを比較してみます。途中から質問が追加されており、1992年データがない場合は、最も古いデータを引用しました。

 「欲しいものは安定したくらし」は、44.2%(2002年:38.5%、1992年:27.6%。以下同じ)。「日本の誇れることは高い教育水準」は、19.8%(23.1%、46.2%)。「能力主義はとても合理的な制度だと思う」は、41.4%(51.2%、1994年:33.7%)。「普及品より、多少値段がはってもちょっといいものが欲しい」は、37.2%(41.2%、53.4%)。「ものを買うときには、どこの国のものかは気にしない方だ」は、14.0%(30.3%、27.6%)。「今後も節約したいものは外食にかけるお金」は、44.3%(40.6%、1998年:33.7%)です。

 どうでしょうか、世相の移り変わりをある程度反映しているのではないでしょうか。「安定した暮らし」を求める人々に政治がどう応えるかが問われているといえるのではないでしょうか。

 今回引用したのは、2800項目にも及ぶ膨大な質問の中からまとめた約20年間の「生活波形」の分析です。全文は以下のHPにアクセスして下さい。

 http://seikatsusoken.jp/pdf/teiten2008_report.pdf


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