19日全国都道府県知事会議で、麻生首相が「地方が抱える医師不足の問題についてどう考えるか」と問われ、「はっきり言って、社会的な常識がかなり欠落している人が多いと思われる」と答えたことが大きな波紋を呼んでいます。ある医師会の会合では「この発言に医師会がどう対応するのか。きちんと対応しなければ医師会の存在意義が問われる」という声も出ました。
「医師不足」問題を「医師の常識」問題にすりかえる認識の甘さにも驚きますが、こういった無責任な発言にきちんと声をあげていかなければいけません。
私は、以下のような抗議声明を発表したので、紹介します。
(第202回 11月21日 )
日本生活協同組合連合会医療部会
医療活動委員長 藤原高明
麻生太郎首相が19日 の全国都道府県知事会議で「自分で病院を経営しているから言うわけではないが、医者の確保は大変だ。(医師には)社会的常識がかなり欠落している人が多い。うちで何百人扱っているからよく分かる」と述べ、さらに「正直これだけ(医師不足が)激しくなれば、責任はお宅ら、お医者さんの話ではないのか。しかも、お医者さんを『減らせ減らせ、多すぎだ』と言ったのはどなたでしたか」と発言しました。
現在の全国的な医師不足の根本原因は、政府与党が来年度から医学部定員の増員を決断したことからも明白なように、昭和60年代に政府・与党が行なった医学部定員の削減にあります。医療の高度化に伴う必要医師数を見誤り、安全・安心な医療を求める国民要求を無視した政策的な失敗の責任が厳しく問われています。
今回の麻生首相の発言は 歴代政府・与党の責任を棚上げにし、医師をはじめとした医療従事者に責任を転嫁するものです。また医師不足の中、地域医療を守るために献身的に働く多くの医師を誹謗するもので決して許されるものではありません。同時に、医療機関の運営に自らも関わりを持つ麻生首相の発言は、医師・看護師不足の中、住民の生命を守るために奮闘する医療機関の現状の無理解と、首相自らの認識不足を露呈したものであると言わざるを得ません。
日本生活協同組合連合会医療部会は、引き続き医師・看護師不足の解消に向けた育成政策の改善と、安心・安全な医療を提供するために必要な医療機関の人員確保を保障する診療報酬制度の見直しを求め、全力を上げるものです。
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