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義務教育年齢の子どもからの保険証取り上げは許せません
(第198回 11月07日 )


 厚生労働省は10月30日、国民健康保険(国保)の保険料を滞納したために保険証に代わる「資格証明書」を交付された世帯が全国で約33万世帯に上り、この中で中学生以下の子どもが約3万3000人いるとの調査結果を発表しました。

 国民健康保険の資格証明書とは、自民党・民主党・社民党の賛成多数で行われた1997年の国保法改悪により、市区町村に発行が義務づけられたものです。保険料を滞納すると発行される資格証明書では、医療機関の窓口で医療費全額をいったん全額自己負担しなければなりません。保険料も払えない人が全額医療費を払える訳もなく、医療を受ける権利を阻害するものとして大きな社会的問題になっています。

 マスコミでも「国民健康保険(国保)の子どもの「無保険」問題で、都道府県レベルでの“地域格差”も浮き彫りになった。国保料を滞納した世帯数と、「資格証明書」を受けた子どものいる世帯数を比較すると、「発行率」が最も高いのは栃木県だった。一方、埼玉県は滞納率が栃木県と同水準ながら、「発行率」は0.06%。「発行率」下位の3県は、いずれも県庁所在地が子どもに資格証をほとんど発行していないのが特徴だ」(「毎日」11/5)と、都道府県の姿勢もさることながら、該当世帯の多い県庁所在地の自治体の姿勢も問題であることが明らかになっています。

 香川県では、国保世帯が19.2万で滞納世帯は2.7万(14%)で、短期保険証世帯が7,188(滞納世帯の27%)、資格証明書発行が3,709(滞納世帯の14%)です。そのうち、資格証明書が発行された義務教育年齢までの小児は87人ですが、78人が県都高松市に居住しています。

 9月県議会で白川県議(共産)の質問に対し、真鍋県知事は「保険料負担の公平性の観点から、やむを得ないものであると考えます」と答弁しました。高松市議会では、岡田市議(共産)の質問に対し、大西市長は「負担の公平を測る観点から法令に基づき実施しており」今後とも継続するとして見直すつもりの無いことを表明しました。

 「払うつもりのない」ごく一部の人がいるのは事実ですが、払う意思があっても払い切れない高い国民保険料(第178回・第183回参照)に問題があるのが実態です。しかし、「親が保険料を払っていなければ、子どもに保険証は渡さない」という考え方は、どう理由をつけようとも、間違っていると思います。

 大阪市では、大阪社保協(社会保障推進協議会)が、大阪府内国保調査の中で掴んだ資格証明書発行世帯のこども数調査をFax通信等で発信、その後、毎日新聞、朝日新聞が大きく報道しました。その後市との懇談や市議会での論戦を通じ、10月31日に「中学生以下のこどもへの資格証明書発行をやめ、11月中旬から3か月の短期保険証を発行する」ことを決定しました。

 事実に基づく問題提起、行政との交渉、地方議会での論戦、マスコミへの情報提供、市民運動、これらがあいまって成果を産み出しました。是非、香川県(高松市)でも成果をうみだしたいと思います。


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