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「医師不足と医療「崩壊」」と題する講演を行いました(その2)
(第190回 10月07日 )


 第188回の続きです。

 善通寺地域を中心にして医療体制の現状がどうなっているか、振り返ってみました。善通寺市の中核病院は国立善通寺病院です(正式名称は「独立行政法人 国立病院機構 善通寺病院」です)。19科、ICU、CCU含む251床を持っています。

 しかし、ここでも医師不足のため耳鼻咽喉科・精神神経科が休診中、産科(外来診療は継続)・脳神経外科(外来診療は継続)など、大きな影響が出ています。意識障害など脳外科疾患が疑われる場合、丸亀市の香川労災病院に救急車が集中しています。また、これまで有床診診療所であった開業医で病床を閉鎖するところが増えたために、入院可能な医療機関の数が減少しています。

会場の善通寺診療所です。黄色い看板が目立ちます
会場の善通寺診療所です。黄色い看板が目立ちます

 小児科は国立小児病院があるため、夜間や救急時に不安は感じませんし、お産を扱う開業医が2軒あるため、今のところ問題はないように思いますが、10年後にどうなるのか、これから考えなければならない課題だと思います。

 産科についてみると、5町が合併した三豊市内に分娩可能な医療機関は1つだけです。詫間町にはないため、善通寺市で受診していると聞きます。旧観音寺市内で分娩可能な診療所は1つか2つです(大野原町、豊浜町に1つずつ病院がある)。

 香川県は狭く、交通のアクセスが比較的よいため、あまり目立ちませんが、少しずつ医師不足の影響がでています。

 参加した方からは、「善通寺病院は、この地域で住み続けたいと思う人にとって、なくてはならない病院。みんなで声あげよう」(患者)などの意見が出されました。

 私は、兵庫県の北部、丹波篠山地域の中核病院である県立柏原(かいばら)病院が医師不足で小児科閉鎖に追い込まれようとした時に、病院が地域にメッセージを発し、地域で「守る会」ができ、住民と一緒に地域医療を守る取り組みが始まっていることを紹介しました。これからは、「何とかしてほしい」ではなく、主体的に「何とかしよう」という運動が重要であること、そして「地域まるごと健康づくり」をめざす医療生協が大きな役割を果たすべきであることを強調しました。

 
 
 ※産科医療機関については、香川県保険医協会の篠崎事務局長調査のデータを使用しました。

 ※兵庫県立柏原病院と守る会の活動については、以下のHPを参照下さい。

 http://www.kaibara-hp.jp/
 http://mamorusyounika.com/


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