日本生協連・医療部会発行の、「虹のネットワーク」 2008 年8月号のコラム「社会派 しんさつ室」に掲載された文章を転載します。一部修正しています。
(第184回 9月5日 )
「痴呆」を「認知症」と呼ぶようになった事をきっかけに、厚労省は「認知症を知り地域をつくる10カ年」構想の下、2005年度から「認知症サポーター(認知症を理解し、認知症の人や家族を温かく見守り、支援する人)」養成事業を開始しました。
認知症が病気であること、不安や混乱した気持ちでいる認知症の人や家族の気持ちを正確に理解し、認知症の人が尊厳を持って暮らし続けることを支える「地域づくり」を目的としています。
厚労省は10ヵ年計画の中間年である2009年度に、「認知症サポーター」が100万人に到達している事を目標としています。
医療部会では、「医療生協の事業の特長をつくる5つのとりくみ」の一つとして、医療生協の中で早急に1万人の「認知症サポーター」づくりを呼びかけています。
2008年5月末現在、全国には認知症サポーター養成講座の講師を担当する「キャラバンメイト」が2万人、認知症サポーターは約50万人いますが、医療生協の中の認知症サポーターは、2007年度末で18生協722人です。キャラバンメイトの新たな養成については自治体により温度差がありますが、医療生協の枠内にとどまらず、サポーター養成を地域の運動として広げていく、そして、養成講座を自治体に働きかけていく必要があるのではないでしょうか。
アイヌ民族の宗教観は「神の国から来て、神の国に帰る」といわれています。アイヌ民族の文化では、認知症の人の言葉は「神の言葉だからわかりにくい」ので身をすりよせて聞き取ろうとしなければいけない。認知症の人が「おかしな行動」をした時には、自分たちが意地悪をしたのか、つらい仕打ちをしたのか?と考える、といわれています。
安心してくらせるまちづくりの取り組みとして、運動を広めていきましょう。
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